
初めに
俺は日常で腕時計を着ける習慣が全くない。理由は①時間に追われたくない、②手首の感覚が煩わしい、③そもそもスマホで事足りる、といった具合だ。思い返せば、俺が腕時計を着けていたのは小学生のときくらいだ。当時は友達グループ内で腕時計が流行っており、一種のステータスとして重宝されていたのだ。俺もマフィアが付けるような銀ギラ銀や金ピカな腕時計(ブランド物の模造品)や、母親から譲ってもらったCASIOの「BABY-G」などを着けていた。
しかし俺たちの憧れの的だったのは、やはりCASIOの「G-SHOCK」だった。ファッションリーダー的な友達がカッコイイ黒色のジーショックを着けるやいなや、他の裕福な家庭の子供たちもこぞって真似をした。俺はそんな高価な物には縁がなかったし、何なら黄色のベイビージーも元は結構高価な物なので、それで満足していた。
とまぁ、腕時計のように身に着けられて何らかの便利機能を搭載しているガジェットは、いつの時代でもステータスアイテムである。昨今ではスマホライクな機能を持った「スマートウォッチ」がその最たる物だろう。スマートウォッチは内側にセンサーを搭載し、利用者の心拍数や血中酸素濃度などのバイタルデータを取得・モニターできたり、健康増進のためのツールとして優秀である。
俺も最近ランニングなどを始めたことで、自分の走っているときの心拍数や、それが脂肪燃焼状態なのか有酸素運動なのか、はたまた無酸素運動なのかや、走った距離や消費カロリーはいくつなのかや、いろいろと知りたいことが出てきたので、ついにスマートウォッチを使い始めるに至ったのである。今回の記事はその所感や、おすすめの機種などを書いていこうと思う。
スマートウォッチの必要性
初めに元も子もないことを言うが、スマートウォッチってのは、俺たちの生活に必須ってわけでは全くない。ただちょっと「運動時の身体の状態をモニターしたい」とか「睡眠の質をモニターして少しでも改善に努めたい」とか「個性的なディスプレイで時間を見たい」程度の欲求を満たすためだけのアイテムだ。
使い始めてすぐは、新しいガジェットを入手したことに高揚して四六時中装着してみるだろうが、すぐに飽きて必要なとき(運動時や睡眠時)のみの装着に移行するだろう。実際、それが使い方としては正解だ。なぜならスマートウォッチは、常に身体の一部にしておきたいほど高機能ではないのだ。それなりに高級な物でもスマホの足元にも及ばぬ性能である。
おすすめの機種
Xiaomi Smart Bandシリーズ
健康増進機能に特化した「スマートバンド」であり、新品で買う場合のコスパはピカイチだ。現在は「Xiaomi Smart Band 9」が最新で、このシャオミーはバッテリー持続時間にも定評がある。俺は8を軽く使ったが、基本的な機能は搭載していて、特段不満の見当たらない印象だった。ただし「ハズレ個体」として内側LEDが点きっぱなしになる物が一定数あり、購入の際には注意が必要だ。
またディスプレイ画面が小さいので、オシャレな文字盤などを楽しみたい人にも不向きである。そして専用アプリ「Mi Fitness」はその名の通りフィットネスに特化しているので、それ以外の機能はほとんど搭載していない。とにかく無駄を省いたエントリーモデルとしてオススメである。
Band 9の参考新品価格:5400円、中古価格3000~4000円。
Huawei Bandシリーズ
同じくスマートバンドであり、コスパに優れたシリーズだ。現在最新が「Huawei Band 9」なので、ナンバリングもシャオミーバンドと同じである。違いがあるとすれば、ファーウェイバンドはシャオミーバンドと比べてバッテリーはやや弱いが、その分ハズレ個体が少ない印象である。俺は6を使ったが、シャオミーバンドよりも優れた点がいくつかあり、かなり気に入った。
まず一つがディスプレイの大きさである。オシャレな文字盤が多数用意されており、視認性にも優れている。そして二つ目が物理ボタンの存在である。Huawei Bandには画面右側に物理ボタンを搭載しており、これを使って各種機能にもアクセスできる。最後の三つ目が専用アプリ「Huaweiヘルスケア」の多機能さである。通常のヘルスケア分析の他に、無料で読める運動や健康に関する記事のまとめや、無料で聞けるリラクゼーション音声など、便利機能が搭載されている。
Band 9の参考新品価格7800円、中古価格5000~6000円。


Fitbit Senseシリーズ
本格的なスマートウォッチ。現在最新は「Fitbit Sense 2」だが、断然「1」をオススメする(理由は後述)。多機能な分、先の二つのシリーズよりもバッテリーの持ちはすこぶる悪いが、大画面ゆえに視認性は抜群。GPSやWi-Fiまで搭載しており、正確な距離測定とちょっとしたナビゲーション機能を持っている。また適用範囲は狭いが「Fitbit Pay」というタッチ決済機能も持っているので、スマートな支払いを実現できる場合がある。
またスピーカーとマイクを搭載しており、「Alexa」や「Googleアシスタント」といった音声操作にも対応している。当然ペアリングしたスマホへの電話着信に応答も可能。バラエティーに富んだ文字盤が存在し、サードパーティ製アプリも使用可能。あと細かいところだが、本体裏側の突起が少なくて、長時間装着していても手首に痕が付きづらいのも評価ポイントだ。ただし専用アプリの「fitbit」は、Huaweiヘルスケアみたく運動指南動画やヒーリング音声などの機能を備えてはいるが、そのほとんどが「Fitbit Premium」という有料ライセンスがなければ使用できない。その点は減点ポイントだ。
以上のように、Fitbit Senseは高機能ではあるが、新品価格が高いのでコスパは悪い。特に2は明らかに割高なのでオススメしない。理由を説明しよう。まず2にはWi-Fiがない、そして音声操作は「Alexa」のみ、そしてサードパーティ製アプリが使用不可(数えるほどしかない公式アプリしか使えない)なのだ。唯一2が1に勝っている点は、左側に付いた物理ボタンが埋め込み式から通常の押しボタンになったこと、Googleマップに対応して、スマホ側でルート設定すれば、次の角までの距離と曲がる方向を示してくれることくらいだ。
1の参考新品価格25000円、中古価格6000~7000円。2の新品価格28800円、中古価格14000~15000円。



Fitbit Versaシリーズ
Senseシリーズとほぼ同様の外観や機能を備えた、フィットビットの高級スマートウォッチシリーズで、俺が使った「Versa 4」はSense2と極めて酷似した性能と使い勝手だった。同社がGoogleに買収されたことで、fitbit payのサービスが終了し、代わりにGoogleウォレットに対応したことで、タッチ決済の利便性が向上している。
Sense 2よりも新しいモデルだが、Sense 2はストレスレベルを測定できるEDA(電気皮膚活動)センサーや、心臓の健康状態をチェックするECGアプリ(心電図機能)持っているため、より高度な健康管理機能を有しているという違いがある。そのためVersa 4は少し下位モデルにあたる。
Versa 4の参考新品価格21700円、中古価格10000円前後。


GloryFit Smart Watchシリーズ
中国のECサイト「AliExpress(アリエクスプレス)」などで販売しているノーブランド系のスマートウォッチだ。GlotyFitという専用アプリでペアリングできる。俺はQX7とQX11を使ったことがあるが、このシリーズはどれもOSの面ではほとんど同じで、必要最低限の機能を搭載しているエントリーモデルである。なので機種による違いは本体の形や画面サイズ、ボタンの種類や配置だろう。
QX7は小ぶりだがQX11は軍用規格的な無骨なデザインで、かなり使いやすい。どちらもダイヤル(腕時計ではリューズと呼ぶパーツ)を持っており、回したり押し込んだしして操作することができる。ダイヤルはあの天下の「Apple Watch」などでも採用されているインターフェースであるが(アップルウォッチではダイヤルを「クラウン=王冠」と呼ぶ)、使い勝手がいいかと言われると……そうでもない(笑)
本機種はミニゲームがいくつか入っているので、そちらの入力にダイヤルを使えれば面白かったのだが……実におしい。とはいえ安価でありながらスピーカーとマイクを内蔵しており、通話やsiriと提携した音声アシスタントまで使えるのは優秀だ。現在最新はQX12で、外観の面では11を踏襲したミリタリーなデザインとなっている。
QX7参考新品価格2000~4000円、中古価格1500円前後。QX11の新品価4000~4500円、中古価格2500円前後。
FunDo Smart Watchシリーズ
前のシリーズ同様、アリエクなどで売っているノーブランド系である。ベルトがApple Watchと互換性があり、ワイヤレス充電を採用しているのが特徴。俺が使ってみた機種の正式名称は不明だが、1ボタン1ダイヤル式で、致命的にそれらの操作性が悪く、タッチ画面の反応にもラグがあり、あげく日本語にも対応していないという惨憺たる出来だった。
カメラや音楽の遠隔操作も機能せず、スピーカーから出る通知音や着信音の最低音量がうるさく、文字盤の種類も少なくてどれも格好悪く、本当に酷評しか思いつかない。しいていい面を挙げるとすれば、画面がオフになる前に一段階暗くなること、専用アプリFunDoのビジュアルがイカしていることくらいだ(本当にそれだけで、特筆すべき機能はない)。なので絶対に買うべきではない。
realme Watchシリーズ
上二つと似たような立ち位置だが、比較的高価で人気なシリーズ。俺は「realme Watch 2 Pro GPS」を使ってみたが、特段優れている点は見当たらなかった。ボタンは若干押し込みが必要で、Fitbit Senseのそれに近い。また専用アプリ「realme Link」は低機能で、辛うじて日本語に対応しているが、本体が流通するマーケットによっては日本語に対応しておらず、文字盤も少なくて魅力的なものがなかった。
リアルミー自体は一定の評価を受けているようなので、機種によっては優れているのかもしれない。現在最新はrealme Watch 3 Proで、参考新品価格11000円ほどだ。他にもWatch Sシリーズなどもあり、そちらも同様の価格帯となっている。
まとめ
スマートウォッチは無いならないでもいいが、あったら生活を少し便利にできる「利便性に特化したステータス・アイテム」である。今はまだ粗削りな面も目立つ各商品だが、これからより高機能の機種がリリースされていけば、界隈が持ち上がりを見せていくことだろう。俺もまた新しい機種を使うことがあれば、この記事にレビューを書き込んでいこうと思う。
現時点で俺が知りうる限りでのコスパ評価は、一位:中古のFitbit Sense、二位:中古のHuawei Band、三位:中古のXiaomi Smart Band、四位:中古のGloryFit QX11である。その他はコスパの面でやや劣っているように感じた。もしあなたが一度もスマートウォッチを使ったことがないのであれば、まずは新品のXiaomi Smart Bandを買うのが無難な選択だと思う。運動や睡眠へのモチベーションが上がって、程度の差はあれど生活の質が好転するはずだ。
それでは最後まで読んでくれてありがとう。この記事があなたにとって少しでも参考になれば幸いだ。ぜひ、また次の記事で会おう。
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