俺は「Windows11」が嫌いだ(長い長いアップグレードへの道のり)

コンピューターについて自分について

俺のPC事情

 俺は十年以上前、16歳のときに以下のような構成の自作PCを組み立てた(主なパーツのみ記載)。だいたい新品で買ったので、他の周辺機器など諸々で10万円くらいしたと思う。おかげでコンビニのバイトで稼いだ給料や、お年玉貯金が全てなくなった。
マザボ:ASUS P8H77-V(Z77とは違いOCはできない)
CPU:Intel Core i5 3570K (3.6GHz 4コア)
グラボ:Zotac Geforce GTX 650 Ti だったか 660 Ti だったか
RAM:DDR3 8GB (4GB×2)
補助記憶装置:HDD 1TB(Windows7 Home Premiumのブートメディア)
電源:玄人志向 450W
ケース:NZXT Phantom Red(フルタワー。見た目は格好いいが、初期搭載されたファンのブルーLEDが眩しいので、ずっとスイッチを切っていた。ファンは前面・側面・上面・背面にあり)
 それから十年以上の歳月、以下のように構成を変えながら大切に使ってきた。
マザボ:同じ
CPU:同じ
グラボ:玄人志向 Geforce GTX 1050 Ti(コアクロック Base:1303MHz、Boost:1417MHz、メモリクロック 7008MHz、メモリサイズ 4GB)
RAM:Elixir DDR3 16GB(8GB×2)
補助記憶装置:Samsung SSD 250GB 850 EVO(2.5インチSATA接続、Windows10のブートメディア)、Western Digital Red 内臓HDD三台(3TB×2、2TB)。
電源:CORSAIR CX750 750W
ケース:Fractal Design Define XL R2 Titanium(フルタワー。モノリスみたいなデザインで、ファンは前面・底面・背面のみの超静音設計)
 長らくこの構成で運用してきて、特段スペック不足を感じることもなく(最近のゲームでもそれなりに快適に動いたので)、「まだまだ大切に使っていくぞ」と息巻いていた矢先、例のOSが不意打ちを食らわせてきたのだ。

台頭する「Windows11問題」

 皆さんご存じかもしれないが、Windows11というOSは、インストール可能なシステム要件がかなり厳しく設定されており、比較的最近のパソコンパーツ以外は全て切り捨てるようになっている。例によって、俺の使っていたCPUも「古すぎる」と認定され、半強制的に買い替えを強いられることとなったのである。
 さらにご存じかもしれないが、CPUには「ソケット」「チップセット」という対応するマザーボードを指定する仕様が付いて回る。つまりCPUを新しい世代に変更するということは、「マザボも新しくしなければいけない」という意味になるのだ。
 そしてさらにご存じかもしれないが、マザボには搭載するRAMにも規格があり、現在最新のDD5は俺の使っていたDDR3よりも二世代も先を行っていたからして、マザボの交換はすなわち「RAMも新しくしてね」という意味になるのだ。
 そしてそしてさらにご存じかもしれないが、マザボ・CPU・RAMっていうのは、パソコンの要かつ高価なパーツで、それらの交換コストや作業というのは、ほぼパソコン自体の買い替えと相違ない負担を運用者に強いてくるのである。
 俺は嫌々ながら、2万円掛けて古い中古のマザボ・CPU・RAMを買い、せっかくだからと7千円掛けて中古のSSD、3万円掛けて中古のグラボも買って、本格的にWindows11への移行作業を開始した。しかしそれは長くて困難な道のりの始まりだった。

Windows11への移行パターン①

 もしあなたが使っているパソコンのWindows10が「GPT」というパーティションスタイルでインストールされており、そのディスクに充分な空き容量があるなら、朗報だ。あなたは一番手軽かつ簡単な方法でWindows11へ移行することができる。
 ディスクパーティションのスタイルを確認するには、デスクトップにある「スタート(ウィンドウズのマーク)」を右クリックして、「ディスクの管理」をクリックし、表示された画面の下にあるディスクの一覧から、Cドライブに対応したディスクを見つけ、そのディスクを右クリックして「プロパティ」を選択し、出てきたプロパティの「ボリューム」タブを開けば、「パーティションのスタイル」を確認できる。

具体的な手順

 まずWindows11が対応するCPU、それに対応するマザーボード、それに対応するRAMを購入し、それを取り付けてパソコンを起動、最初に表示されるメーカーロゴのところで、F2やDeleteキーを押してBIOSへ入る(このときのキーはマザーボードのメーカーにより異なる場合がある)。
 BIOSでブートモードをUEFIに変更し、セキュアブートを有効にする。具体的な手順はマザーボードによって異なるので、ここでは俺の買ったマザボメーカー「ASRock」のBIOSを例に説明する。まず「Boot」タブから「CSM(Compatibility Support Module)」を見つけて、これを「Disabled」に設定する。F10キーで変更を保存して再起動。これでシステムはUEFIモードで起動するようになる(※パーティションスタイルが「MBR」のディスクは起動できなくなる)。
 もう一度BIOSに入って、「Security」タブから「Secure Boot」の項目を見つけ、オプションを「Disabled」から「Enabled」に変更。このとき「Secure Boot can be enabled when System User Mode. Repeat operation after enroll Platform Key(PK)」と表示されて変更できなければ、同じく「Security」タブ内の「Install default Secure Boot keys」をクリックして、表示された「Load Default Secure Variables」画面にて「Yes」を選択する。
 再度「Secure Boot」を「Enabled」に変更し、F10キーで設定を保存して再起動する。今度はそのままWindows10を起動し、「スタート」→「設定」→「Windows Update」にて、「このPCはWindows11の要件を満たしています」の表示が確認できれば、「更新プログレラムのチェック」をクリックし、「Windows 11に無料でアップグレードする準備が整いました」というメッセージが表示されたら、「ダウンロードしてインストール」をクリックする。
 あとは処理が完了するまでPCを放置してアップグレード完了である。

Windows11への移行パターン②

 もしあなたのWindows10が「MBR」パーティションスタイルでインストールされており、ディスクに充分な空き容量がない場合、残念ながら手順は大分複雑で面倒になる。まずあなたがすべきことは、必要なパーツを組み立ててPCを起動させること。そして何とか不要なファイルを削除して、10~20GBくらいの空き容量を作ることである。これでソフトウェアの実行中に起こりうる「いなぬエラー」などを回避できる。
 よければコマンドプロンプトを管理者権限で起動する。「検索」欄に「コマンド」と入力して、表示されたコマンドプロンプトを右クリックして「管理者として起動」をクリックすればいい。そしたらターミナル画面にて次のコマンドを実行するのだが、このとき「disk:0」の0という番号のところは、OSがインストールされているディスクの番号を指定する。その番号は、前述した「ディスクの管理」でCドライブを持っているディスクを確認すれば分かる。
mbr2gpt /validate /disk:0 /allowFullOS
 「Validation completed successfully」と返されれば、そのディスクはMBRからGPTへの変換が可能な状態だと言える。この条件には、そのディスクが最低三つ以上のパーティションを持っていなければいけないので、もし違う返答が返ってきた場合は、ディスクの管理にてパーティション数を確認するといい。
 通常、Windowsがインストールされているディスクには、Cドライブの他に、EFIシステムパーティション(システムが起動するときに必要なファイルが格納されている)と、回復パーティション(システムに障害が生じた場合に復元するためのファイルが格納されている)を持っているため、この条件をクリアしているはずである。
 続いて以下のコマンドを実行し、MBRからGPTへの変換を行っていく。このときそのディスクに入っているデータは保たれるが、念のため重要なファイルはバックアップを取っておくといい。
mbr2gpt /convert /disk:0 /allowFullOS
 もし以下のような返答で変換が失敗した場合、EFIシステムパーティションを作成するための空き領域が不足しているため、ディスクに少なくとも「100MBの未割り当て領域」を作成する必要がある。
MBR2GPT: Trying to shrink the OS partition
Cannot find room for the EFI system partition.
MBR2GPT: Conversion failed
 「ディスクの管理」にてCドライブを右クリックし、「ディスクの縮小」をクリック。「縮小する領域のサイズ」項目にて「100(MB)」を指定し、「縮小」をクリック。これでディスクに未割当領域が100MB分作成される。もし「縮小」ボタンが押せない場合、以下のコマンドでハイバネーションを無効化すると解決するかもしれない。
powercfg.exe /hibernate off
 もう一度先のコマンドで変換を試み、以下の返答が返された場合、変換は成功である。
MBR2GPT: Conversion completed successfully
 もしそれに続いて以下の文言もくっついていた場合、それは全部無視していい。解決しようと躍起になると、時間を無駄にして痛い目を見るだろうから……。
Call WinReRepair to repair WinRE
MBR2GPT: Failed to update  ReAgent.xml, please try to manually disable and enable WinRE
 さて、ここまで来たら一度再起動してBIOSに入る。前述の手順でUEFIモードへの変更とセキュアブートをオンにして、問題なくWindows10が起動できれば、いよいよ11へのアップグレードを実行する。「Windows Update」にて「このPCはwindows11の要件を満たしています」と表示されていれば前述のとおりに、もしまだ「このPCは現在Windows11のシステム要件を満たしていません」と表示されれば、それは恐らくセキュアブートがオンになっていないためであり、その場合はこれを無視して「Windows11インストールアシスタント」を実行してアップグレードを試みる。
 公式サイトよりインストールアシスタントをダウンロードし、実行して画面の指示に従って進めていく。アップグレード処理が始まったら、完了までPCを放置する。かなり時間が掛かるだろうが、気長に本でも読みながら待とう。
 また無事にWindowsが起動して、ログイン画面になったら、いつもの手順でログインして、「スタート」→「設定」→「システム」→「バージョン情報」→「Windowsの仕様」の項目にて、「エディション」が「Windows11」になっていることを確認できれば、アップグレード作業完了である。

Windows11への移行パターン③

 現在のWindows10にMicrosoftアカウントでサインインして、ライセンスを紐づけした後に、USBメモリにWindows11インストールメディアを作成して、そのメディアでブートして、別の新しいメディアにWindows11をクリーンインストールしようとしている人がいるなら、それはやめた方がいい。
 インストールメディアを作成する「MediaCreationTool_Win11_23H2」は、謎のエラーや不具合が多く、作成したメディアもGPTのはずがUEFIモードで起動せず、よってメーカーロゴから進めなくなったり、メーカーロゴでフリーズしてBIOSにすら入れなくなったり、散々な目に遭うだろうから……。

結論

 自作PCユーザーはWindows11のシステム要件を満たすのに苦労することが多いだろう。正直俺はかなりの時間を掛けてやっとの思いで移行することができた。さまざまなミスリード情報や不測の事態に遭遇し、途中は心が折れかけて、本気でLinuxに移行しようとも思っていた(実際、Linuxはすごく面白いし、必要十分な機能を持っていて、自由度が高くて、基本的に無料だし、何よりもデスクトップがイカしている)。

 そんな俺はことあるごとにこう呟いていた。

 「Windows11なんて嫌いだ」
 こんな、ユーザーに大々的なシステム変更を要求し、あまつさえTPM2.0(暗号キーの管理やシステム整合性チェック、ユーザー認証などに使用される技術)や、セキュアブート(コンピュータ起動時に信頼できるソフトウェアのみ実行する技術)といった聞きなれない機能を適用するために、BIOS操作を強要してくるようなOSは煩わしすぎる。
 何よりも古いMBRというパーティションスタイルや、レガシーモードとかいうブートスタイルは、もっと早く失くしておいて欲しかった。たかだか十年そこら前のシステムに対して、「あなたのPCはもはやレリックです、レガシーです、オーパーツです」なんて言ってくるわけだから、使っている側としては気分がいいものではない。
 そんなこんなで、移行できた今でも俺は、Windwos11が嫌いである。それでは今回の記事はここまでだ。最後まで読んでくれてありがとう。次回はWindows11を新しいSSDに移植する手順を記すつもりだ。

コメント

タイトルとURLをコピーしました