
初めに
前回の記事に引き続き、今回も健康のスペシャリスト「ブライアン・ジョンソン」氏から学んだ「若さを保つ方法」をお伝えしていく。今回のトピックは「運動」、「頭皮ケア」、「スキンケア」、「オーラルケア」となっており、特に頭皮ケアは「男性性脱毛症」に焦点を当てた男性向けの内容なっている。例によって俺の勝手な解釈や独自分析も織り交ぜられているので、必ずしも正しい内容でない可能性があることもご了承いただければ幸いだ。
運動について
以下のようなポイントをおさえて週6時間を目安に行う。ただし運動習慣を作りたいので、原則として毎日運動するべきである。食後は栄養の吸収と血流を促すために、5~10分の軽い有酸素運動が効果的で、デスクワークのときも30分に一度は立ち上がって動き回るべきだ。
運動が習慣づくと、それを行うために何か考えたり、選択したりする時間を自分に与えずに済み、ただ日課だから運動するという状態に持っていくことができる。そうなれば健康的なライフスタイルに一歩近づいたわけだ。しかしその状態が砕かれる原因の一つが「怪我」なので、あなたは運動をするとき、絶対に怪我はしないように注意しなければならない。
- 週6日、1日1時間を目安とする
- 残り1日はアクティブリカバリー(注釈を参照)に充てる
- 1日分の流れはウォームアップ→メイン→クールダウンとする
- 動的ストレッチ(ウォームアップ)は10分程度行う
- メインの運動は40分程度行う
- 静的ストレッチ(クールダウン)は10分程度行う
- 1週間のうち3日間は筋力トレーニングを行う
- 1週間のうち3日間は有酸素運動を行う
- 中強度の運動と高強度の運動は2:1の割合で行う
- 中強度とは最大心拍数の60~70%(会話を維持できる)の運動を指す
- 高強度とは最大心拍数の90%以上(会話不可)の運動を指す
※最大心拍数(MHR)とは、その人の心臓が運動中に、安全に拍動できる最大の心拍数のことである。正確な数値を知るためには指導者の監督のもと、トレッドミルテスト(運動負荷テストの一つで、フィールドテストともいう)を行う必要があるが、大体の値は「220 – 年齢」や「207 – (年齢×0.7)」といった計算で求められる。
つまり20歳の場合MHRは193~200程度、30歳の場合は186~190程度、40歳では179~180程度ということになる。よって中強度の運動とは20歳では118~138程度、30歳では113~132程度、40歳では108~126程度となり、高強度の運動とは20歳で177以上、30歳で170以上、40歳で162以上ということになる。
※アクティブリカバリーとはオーバートレーニングを防止する目的で設ける、軽度な運動を用いた動的な回復期間を指す。アクティブリカバリーと定めた日の1時間は、後述するヨガやストレッチ、マインドフルネスの瞑想を行う。
動的ストレッチ 10分
動的ストレッチは軽度なサイクリング、ウォーキングなど血流を促進する運動を指し、身体がより激しい運動を行うための準備(ウォームアップ)として重要である。これを怠ると怪我を誘発してしまい、運動習慣が瓦解する最大の原因となる。日本人には馴染みが深い「ラジオ体操」も動的ストレッチの一種なので、運動前に取り入れてみてもいいだろう。
- アームサークル
両腕を横に伸ばして大の字になり、腕を前と後ろに回す運動。 - アンクルサークル
足首を回す運動。座って空中で行ってもいいし、つま先や踵を床に付けて行ってもいい。 - レッグスイング
片脚ずつ前後や左右に振り子のように振る運動。慣れないうちは椅子や壁などに手を掛けて、身体を支えながら行ってもいい。 - ハイニー
膝をできるだけ高く上げてその場で歩く運動。 - ランジ
一歩前に踏み出して深くしゃがみ込む運動。左右交互に行う。 - ラテラルランジ
横に大きく一歩踏み出し、そのまま深くしゃがみ込む運動。左右交互に行い、着地した足の踵が浮かないように注意する。 - ショルダーロール
肩回し運動。両手で同じ方の肩に触りながら行うと効果的。 - スタンディングサイドベンド
立った状態で行う側屈。
筋力トレーニング 40分
本格的に身体作りしてマッチョを目指すような、上級者向けのハイレベルな運動(主にバーベルなどの大掛かりな器具を使うような運動)はここでは排除し、初心者でも無理なく続けられるものをピックアップして紹介する。以下のような運動を組み合わせて自分に合ったプログラムを組み立てる。
- スクワット 15回×3
自重でもいいが、ウェイトを用いて強度を増してもいい。その場合は「ゴブレットスタンス」と呼ばれる、胸の中央で聖杯を抱くようにウェイトを持つやり方がオススメだ。 - プッシュアップ(腕立て伏せ) 10回×3
通常の足を支点とする仰向けのやり方が難しければ、膝を支点としたり、立って壁を押すやり方でもいい。自分が10回何とかこなせる強度で続ける。 - シングルアームダンベルロウ(ワンアームダンベルロウ) 各腕10回×3
椅子やベンチを支点として前かがみで立ち、自由な方の片腕でダンベルを持ち上げる運動。動作はゆっくりスムーズに行い、肩甲骨を寄せて肘を後ろに引くようするのがコツ。ちなみにロウイング(rowing)とは英語で「漕ぐ」という意味で、腕を曲げて錘を引く動作がボート漕ぎに似ていることから、こういった動作で背中や肩、腕の筋肉を鍛えるための運動もこう呼ばれる。 - ケトルベルスイング および ファーマーズウォーク 合わせて30秒×3
ケトルベルスイングは「ケトルベル」という取っ手の付いた錘を両腕で持って、前で前後に振る運動。錘は両手で持てて安全に振ることができれば何でもよく、ダンベルやカバン、メディスンボールなどでも代用できる。
ファーマーズウォークは両手に重いダンベルを持って歩くだけというシンプルな運動で、30秒行う場合は自分が30秒ギリギリ持っていられるくらいの重量で行うと、高い運動効果を得られる。 - ステップアップス(踏み台昇降運動) 10回×3
階段の上り下りを再現した機能的な運動で、手ごろな高さの踏み台を使って上り下りを繰り返すだけのシンプルな運動。本物の階段でも行えるが、そのときも必ず一段のみで上り下りし、複数の段を後ろ向きで下りるのは避ける。なぜなら万が一転倒した場合、大怪我に繋がる可能性もあるからだ。 - プランク 30秒×3
腕立て伏せの状態から肘を付いた姿勢を、一定時間動かないように維持する運動。腕立て状態は「ハイプランク」と呼ばれ、さらに運動強度が高い。慣れてきたらこのハイプランクか、足を片方浮かせる「ツーポイントプランク」を行う。 - サイドプランク 左右30秒ずつ
片肘のみを付いて横を向いたプランク。 - ランジ 10回×3
動的ストレッチでもあるが、ダンベルを持って行えば立派な筋トレとなる。 - オーバーヘッドプレス 10回×3
錘を両腕で頭より高く持ち上げる運動。バーベルで行うのが理想だが、無ければ両手にダンベルを持って行ってもいい。 - ダンベルショルダープレス 10回×3
座って行うダンベル版オーバーヘッドプレス。 - ダンベルチェストプレス 10回×3
ベンチで仰向けになり、両腕でダンベルを持ち上げる運動。 - ベントオーバーロウ 10回×3
中腰で背筋を伸ばしたまま前屈みになり、その状態を保ったまま両手でダンベルをロウイングする運動。 - アシステッドプルアップ 10回×3
懸垂バーを使った懸垂運動に、ゴムバンドのアシストを付けた運動。ある程度の長さに結び付けたゴムバンドの輪っかに足を掛け、自分の体重をゴムに引っ張ってもらいながら懸垂する。 - ロシアンツイスト 10回×3
腹筋運動の姿勢から頭を中間くらいまで持ち上げ、その状態のまま左右に身体をひねる運動。胸元で錘を持つとより効果的。 - レッグレイズ 10回×3
仰向けで寝た状態から両足を揃えて上に上げる運動。10回行う間は床に足を落とさず、できるだけ低い位置まで下すこと。
有酸素運動 40分
- 早歩きやゆっくりのジョギング
- サイクリング
本物の自転車よりも器具(エアロバイク)を使った方が転倒の恐れがなく、また運動を持続させやすいので好ましい。 - 水泳
- エリプティカルクロストレーナー
連動したハンドルとペダルを持った運動器具で、サイクリングとジョギングの中間的な運動を行える。より全身にアプローチでき、また怪我のリスクも低い。
スタビリティワーク(バランス運動) 10分
特にバランスや姿勢維持に重要な「インナーマッスル」および「コアマッスル」を鍛える体幹トレーニングの総称。次のような運動を複合的に組み合わせて行う。
- シングルレッグバランス 各脚30秒
片足立ち運動。難しければ椅子などに掴まりながら行う。 - バードドッグ 30秒
四つん這いから左右逆の腕と脚を伸ばして静止する運動 - シングルレッグRDL 各脚30秒
片手で錘を持って前に屈む片足立ち運動。上げている脚と背筋が一直線になるように意識する。 - シングルレッグトゥタッチ 各脚5回
片足立ちから軸足のつま先を触る運動。 - プランクショルダータップ 合計10回
ハイプランクから交互に左右の肩を触る運動。 - デッドバグ 合計10回
仰向けで両手足を上げ、左右逆の腕と脚を交互に上下に伸ばす運動。毎回スタート姿勢に戻り、動作をゆっくり行うのがコツ。ちなみにデッドバグとは「死んだ虫」のこと。 - タンデムスタンス 各脚30秒
両足を前後に並べて立つ運動。それを維持するように交互に足を出して歩く方法もある。 - ヒールリフト 30回もしくは30秒
つま先立ち運動。 - ダウンワードドッグ 30秒
「下向きの犬」という意味で、両手両足を床に付いてA字になる運動。 - エルボートゥーニー 合計30回
立ったままそれぞれ逆の肘と膝をくっつけていく運動。 - ピストルスクワット 各脚10回
両手と片足を前に突き出したまま行うスクワット。 - スタンディングスプリット 各脚30秒
立って前屈しながら、片脚を後ろに高く上げる運動。
初心者向けのヨガポーズ 15分
こちらはバランスと柔軟性に焦点を当てた運動で、以下のようなポーズをそれぞれ3分程度行う。
- 猫と牛のポーズ
四つん這いなって背中を丸めたり、反らせたりするポーズ。 - 靴の修繕人のポーズ
両足裏をくっつけて座るポーズ。両膝を床につけるとストレッチ効果が得られる。 - 木のポーズ
片足立ちで浮かせた脚を折り曲げ、足を内ももに付けた状態で両手を合掌して上に伸ばすポーズ。 - コブラのポーズ
仰向けでなそべった状態から両手を床に付いて背中を大きく反らせるポーズ)、鳩のポーズ(片脚であぐらをかき、もう一方の脚を後ろに伸ばすポーズ。 - 烏のポーズ
両手を床に付き、両膝をそれぞれ前の肘に載せて、そのまま足を浮かせるポーズ。
高強度インターバルトレーニング(HIIT) 20分
インターバルトレーニング(IT)は高強度の運動と低強度の運動(または休息)を交互に行う運動で、短時間で高い効果が得られるため、忙しいは積極的に取り入れよう。次のような運動を60秒間行い、その後でウォーキングや軽いジョギングといったアクティブリカバリー(動的な回復運動)を60秒間行う。これを規定時間まで8~10ラウンド繰り返すのだ。
- ジャンピングジャック
ジャンプしながら両腕両脚を開いて→閉じる→また開く…を繰り返す運動。 - ハイニー
膝を高く上げてその場で行進する運動。 - バーピー
ジャンプ→腕立て伏せ→ジャンプ…を繰り返す運動。 - スプリント
短時間の全力疾走。その場で早く足踏みしてもOK。 - マウンテンクライマー
ハイプランクから左右交互に足踏みする運動。岩場を上る登山家っぽいのでこう呼ばれる。 - スタンディングトゥタップス
立ったまま片足を膝を曲げずに上げ、逆の手でつま先に触る動作を交互に繰り返す運動。足を上げずに前に屈む方法もある。
静的ストレッチ 10分
柔軟性や可動性を高めつつ、運動後のクールダウンを目的として行う。静的ストレッチでは伸ばす筋肉を意識して、決して反発をつけずに漸進することを心がけ、各箇所30秒以上を掛けてゆっくり行う。筋肉は息を吐いているときに伸びるので、フーッと深呼吸しながらリラックスして行うと効果的。
- ハムストリングスストレッチ
椅子か床に座った状態で前屈し、片脚ずつ腿裏を伸ばす運動。 - フィギュアフォー
片方の足を逆の前腿に載せて四の字を作る運動。曲げた方の膝を押しながら屈み、内腿と股関節付近の筋肉を伸ばしていく。立ったまま行うとバランス運動にもなる。 - ネックベンド
首を前後左右に倒す運動。手でサポートしながらやるといい。 - フォワードベンド
単純な前屈運動。立っても座ってもできる。 - ワイドレッグドフォワードベンド
単純な開脚前屈。 - カーフストレッチ
ふくらはぎやアキレス腱を伸ばす運動。壁に向かって立って伸ばす方の逆の脚を前に出す方法や、階段や椅子を使って行う方法がある。
毛髪・頭皮ケアについて
ここでは主に男性性脱毛症に対する育毛に焦点を当てた情報を記す。頭髪そのもののトリートメントはまた別の機会に……と言いたいところだが、まぁ洗髪後、根本を避けて全体的にトリートメントを塗布して、5~10分放置して、その際可能ならば機械やホットタオルで温めたりして、終わったら洗い流せばいいだけだ。
ジョンソン氏の日課
朝目覚めたら、まずヘアセラム(育毛剤。成分は後述)を1mL塗り、シリコンスクラバーで頭皮を1~2分間マッサージして血流を刺激する。そのあと赤色光療法のキャップを6分間着用(LEDフォトセラピーについては後述)。それから運動と食事に移る。あとで行うシャワーでは、頭皮刺激剤を用いたシャンプーで洗髪し、柔らかいシリコンブラシで頭皮を60秒間マッサージする。
ヘアセラムは「Roots Hair Loss Genetic Test & Personalized Topical」という製品の、彼の体質に合わせてパーソナライズされたもののようで、その成分はミノキシジル(7%)、セチリジンHCl(1%)、ラタノプロスト(0.004%)、デュタステリド(0.25%)、メラトニン(0.1%)、カフェイン(0.2%)、トレチノイン(0.0125%)、ビタミンD3(1,000IU / mL)、ビタミンE(10 IU / mL)となっている。
成分解説
- ミノキシジル
血管拡張作用を有する育毛への最大の有効成分で、使用中は確かな効果を発揮するが、使用を中止すると脱毛が再開することから、根本的な解決を得られる成分ではないと思われる。またワセリンやトレチノインと併用すると薬剤の過剰な吸収が起こりえ、その場合血管が過度に拡張することから、副作用に頭皮の痒みなどが診られる。 - セチリジンHCI
第二世代抗ヒスタミン薬の一つで、アレルギー反応を抑制する作用を持つ「セチリジン」の塩酸塩形態である。 - ラタノプロスト
毛周期の成長期を延長する作用のある成分「プロスタグランジンF2α」の誘導体であり、「緑内障治療薬」や「眼圧調整剤」、「まつ毛エクステンション」や「まつ毛美容液」などに添加されるものである。塗布された目の光彩部や、皮膚周辺に色素沈着を起こす副作用がある。 - デュタステリド
テストステロン(男性ホルモン)からのジヒドロテストステロン(DHT)生成を阻害する成分で、これにより「男性型脱毛症」を軽減することができる一方、勃起不全や性欲・リビドー減少といった副作用が診られる。 - メラトニン
睡眠時に脳内で神経伝達物質として分泌される成分であり、性腺刺激ホルモンを抑制して性欲を減退させる作用がある。最新の研究では男性性脱毛症の治療に対しても有効であることが示された。 - カフェイン
一見、ミノキシジルと同じ血管拡張作用目的で添加されているように見えるが、実は毛包の発育を抑制しているテストステロンの働きを抑えるという、デュタステリドに似た作用が明らかとなっている。 - トレチノイン
ケミカルピーリング作用により、ミノキシジルのブースターとして入れられているのだろう。詳しくは後述の「スキンケア」の項目にて。 - ビタミンD3
外用薬として、乾癬やアトピー性皮膚炎の治療に用いられる。気持ち程度に少量添加されているようだ。 - ビタミンE
同じように、抗酸化作用(この場合は日焼け止めよりも薬液の「防腐剤」として)目的で入れられているのだろう。
その他の育毛栄養素
外用薬とは別に内用で、タンパク質、オメガ3脂肪酸、ビオチン(ビタミンB7)、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンE、鉄分、亜鉛などを摂取するといい。ただし亜鉛は外用では「テストステロン→DHT」の変換を抑制するが、内服した場合は逆にDHT量を上昇させる可能性があるとの報告がある。また「アゼライン酸」という成分は、亜鉛との相互作用で5α-レダクターゼ(詳細は後述)の作用を90%抑制することが示されている。
加えて前述のセラムに含まれていないことから、成分解説では触れなかった「フィナステリド」という成分がある。こちらも5α-リダクターゼ阻害薬として男性性脱毛症に一定の効果があり、一部の人ではこれでも充分に改善される。デュタステリドの方が作用が強いので、どちらも試してみて体質に合った方を選択すればいい。
自然育毛のメカニズム
髪の毛は以下のようなサイクルによって生え変わっている。
- アナゲン期(成長期)
髪の毛が成長している時期。通常、髪の毛は数年(2~7年)に渡って成長を続ける。つまり切らなければ最長「髪の成長速度×7年間」分の長さになるわけである。一般的な成長速度は「1 cm/1ヵ月」程度らしいので、女性のショートヘア(約10 cm)で10ヵ月、セミロングヘア(約25 cm)で25ヵ月(2年1ヵ月)、ロングヘア(約50 cm)で50ヵ月(4年と2ヵ月)という計算になる。 - カタゲン期(退行期)
そのあと髪の成長が停止し、毛根が縮小し始める。期間にして数週間である。 - テロゲン期(休止期)
髪の毛が抜ける準備をし、最終的に抜け落ちる。期間にして2、3ヵ月である。
男性性脱毛症について
男性性脱毛症(AGA)は主に男性が思春期以降に発症する、進行性の脱毛症である。AGAは遺伝的な要素が大きく関わっており、男性ホルモンの「ジヒドロテストステロン(DHT)」の作用により引き起こされる。DHTは主に男性の精巣で分泌されるホルモン「テストステロン」が、3-オキソ-5α-ステロイド-4-デヒドロゲナーゼ(5α-レダクターゼ)という酵素により不可逆的に変換された成分であり、アンドロゲン作用(男性ホルモンとしての作用)はテストステロンの2.5~10倍と非常に強力である。
5α-レダクターゼは皮膚(特に髪の毛の毛根や皮脂腺)、前立腺、肝臓、脳(特に神経細胞)、筋肉(特に骨格筋)などに広く存在することから、特に男性の場合DHTもまた、身体中に存在することになる。DHTがアンドロゲン受容体(AR)と結びつくことで、さまざまな作用がもたらされるわけだが、これが頭皮の毛包細胞で起こってしまうと、毛髪サイクルのアナゲン期(成長期)が短縮され、毛髪の成長が妨げらるのだ。
アンドロゲン受容体をどれだけ持っているかは遺伝的な影響を強く受けるため、生まれつき薄毛になりやすい血筋というものは確かに存在する。そういった男性たちがAGAを克服するためにできることは、先に説明したような有効成分を摂取し、DHTの生成をできるだけ減少させるか、アンドロゲン受容体の作用を阻害することである。
このような薬が軒並み性欲減退作用があることから、男性としての性欲と男性性脱毛症の改善はトレードオフ関係にあることが分かる。よってどうしても禿げたくないのであれば、睾丸摘出手術を受けて男性ホルモンの分泌を止めるか、それができないにしてもポルノを観るのをやめて自慰行為(オナニー、マスターベーション)をやめたり、恋人やセックスフレンドとの性行為をやめるべきだろう。なぜならテストステロンの減少は根本的な解決になるからだ。
白髪の撲滅
現在のルーティンには含まれていないが、以前ジョンソン氏は「GR-7 No More Grey Hair」という白髪を減らす薬(これも頭皮に塗布する外用薬)を使っており、劇的に白髪が改善したようだ。効果には個人差があるようだが、一応載せておく。
材料は水、イソプロピルアルコール、グリセリン、ビオチン、塩化アンモニウム、イノシトール、酢酸アンモニウム、パルミチン酸、ポリソルベート20、チロシン、ゴボウ根エキス、アルティカムラッパ、没食子酸、硫黄、つくしエキス、香料。
スキンケアについて
ジョンソン氏の日課
運動と食事が終わると日が出てくる時間になるので、まずシャワーして洗顔も行う。使っている洗顔材は「Vanicream Gentle Facial Cleanser」というベタインフリー、グルテンフリー、石けんフリー、植物抽出物フリーの低刺激のもので、洗顔中は優しく擦らずに洗う。週に2、3回はナイロン生地の硬めのスクラブタオルを使って角質除去を行う。
シャワーを終えたら保湿剤(Vanicream Daily Facial Moisturizer)+ビタミンCを塗って、その上に1%トレチノイン(活性型ビタミンA)薬を塗る。さらにその日のUV指数に合わせた日焼け止めを塗布して完了。寝る前にもう一度同じこと(日焼け止め以外のスキンケア)を行って就寝。
補足情報 – ビタミンC
ビタミンC(L-アスコルビン酸)は水溶性ビタミンの一種であり、高い抗酸化作用により細胞を酸化ストレスから守る他、皮膚でのコラーゲンの合成に必須であるなど、言わずと知れた美容成分であるが、外用薬として用いる場合には二点ほど注意が必要である。まず水溶性なのでそのままでは皮膚の角質層までは浸透せず、浸透には「イオン導入」を行う必要がある点である。
イオン導入は皮膚に電極を当てて、水溶液中に溶けたイオンを電気的な斥力で押し出す技術であり、家庭用の安価なイオン導入機で簡単に行うことができる。ビタミンCはマイナスイオンとして溶けているため、マイナスの電極を用いて導入することになるが、製品によって「導入」や「ホワイトニング」などモードの名称が異なるため、詳しい使い方は各製品の説明書を参照する。
二つ目の注意点は、ビタミンC水溶液が強い酸性であることだ。一般的に10%程度の濃度で使用されるビタミンCであるが、この濃度でもかなりpHが低く、塗布すると皮膚が溶けてピリピリという痛み(スティンギング)が発生する。そのためより中性に近いpHで安定する「ビタミンC誘導体」の使用が推奨される。※ビタミンCに関しては俺はかなり詳しい情報を持っているので、また別の記事で紹介させていただこう。
補足情報 – ビタミンA
ビタミンAとは物質としては「レチノール」という成分を指す。これは皮膚細胞の分化を促進する――つまり新陳代謝を促進する強力な成分であり、古い角質を取り除き、コラーゲン生成を助けることから、しわやシミ、くすみの改善に効果的とされている。レチノールは体内でレチノール(ビタミンAアルコール)→レチナール(レチナールアルデヒド)→レチノイン酸(トレチノイン)へと変換されて作用することから、実際の薬理作用はトレチノインが担っていることが分かる。
レチノールの代謝産物である「レチノイン酸(トレチノイン)」は、「活性型ビタミンA」とも呼ばれる極めて強力な成分で、外用薬としてはレチノールの10倍の効力を持つことから、使用には細心の注意が必要である。塗布した患部は新陳代謝が活性化する一方、紫外線に対し過敏になってしまうので、朝の使用は本来あまり推奨されない。使用する場合は慣れるまで、夜に少量ずつ塗布し、日中は必ず日焼け止めを用いること。
LEDフォトセラピー
またジョンソン氏は週に3回、専用の機器を用いて全身にLEDフォトセラピーを行っている。LEDフォトセラピーとは、特定の光を皮膚に照射することで、細胞の活性化や血行促進、抗炎症効果などをもたらすとされる治療であり、特に赤色~赤外線が効果的とされている。彼が行っている治療では、波長 630 nm(赤)および 830 nm(赤外線)の連続波、または最大40Hzのパルスを用いており、治療時間は1回12分となっている。
彼の使っている機器は「REDDOT RDPro6000-FS(多分LEDが1200個着いたコレ)」であり、その放射照度は6インチ(約15センチ)の距離で最大 200 mW/cm^2 であるため、12分使用した場合 144 J/cm^2 のエネルギーを全身で受けることになる。LEDフォトセラピーに関する科学的なエビデンスはまだほとんどないが、ジョンソン氏が継続しているからには、何らかの医学的メリットが認められているのだろう。
オーラルケアについて
ジョンソン氏は毎日朝と夜の2回、次のようなオーラスケアを行っている。彼のルーティンはまず2分間のブラッシング(一般的な歯磨き)をしてから、「ウォーターピック」と呼ばれる水を使った口腔洗浄機を使用し、それからデンタルフロス(歯間ブラシ)を使って歯垢を完全に除去してから、仕上げに舌スクレーパー(舌クリーナー)でベロを綺麗にしているようだ。
「Plant Therapy Organic Tea Tree Oil」や「コエンザイムQ10ジェル」も使用しているようだが、具体的な使用方法は不明だった。考えられるとすれば、ウォーターピックのタンクに入れて水と混入させるか、あるいはデンタルフロスに付けて使用するか、もしくは「うがい薬」として使用するのかだろう。目的としては口臭予防だと思われる。特にコエンザイムQ10は唾液の分泌を促す効果が報告されているようだ。
彼は口のプラーク(歯垢)を可視化する道具を駆使して、幾度もブラッシング技術を改善しており、これは誰でも試すことができる最も効果的な方法と言える。歯の本数、形、歯並びは個人により異なるので、虫歯や歯肉炎などを防ぐためには、いち早く自分に合った最適なブラッシングを習得することが大切だ。一般的に歯垢除去効率の高い磨き方は、細かく軽快な横方向のブラッシングとされている。
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