[地球上で最も健康!?]ブライアン・ジョンソンから学んだ「永遠に生きる方法」睡眠&食事編

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初めに – ある日観た映画の衝撃

 先日Netflixにて公開された「DON’T DIE: “永遠に生きる”を極めし男」というドキュメンタリー映画を観て、俺は衝撃を受けた。それは「ブライアン・ジョンソン」というアメリカの資産家の活動を追ったドキュメンタリーで、特筆すべきところはその活動が単なるビジネスではなく、彼の私生活と密接に紐づいた壮大な生理学・医学的な実験だったことだ。

 彼は「超」がつくほどの健康オタクで、本気で「永遠の命」を夢見て、あくなき努力を積み重ねていた。毎度決められた食事をして、大量のサプリメントを服用し、運動やその他のルーティンをこなして、先端技術を使った種々の治療を試み、同じ時間に寝て起きる……そんな毎日を繰り返していた。恐らく彼は、一部の僧侶などを除いては、現代で最もストイックな生活を送る人間の一人だろう。

 日々、希死念慮に駆られている俺ではあるが、実のところ「不老不死になりたい」という矛盾する願望も持っている。なぜなら永遠に生きられるのであれば、焦燥感に駆られることもないし、抱えているどの問題もゆっくり確実に解決していき、最終的には楽園での生活に至れると思うからだ(不老不死といっても現実的には限界があるので、よく小説などで描かれる「死ねない苦しみ」みたいなジレンマは存在しないと仮定している)。

 よって映画を観る俺の目には、ジョンソン氏の姿は素晴らしく共感できるものと映ったし、俺の胸にはそのストイックさに対する強い憧れも湧き起こった。そこで彼の示す教えを一度しっかりと勉強してみて、自分の持つ健康観を今一度修正してみようと思い立った。これから始まる記事のシリーズは、その成果として得た情報をシェアするものだ。

 初回となる今回の記事では、ジョンソン氏自身についてと彼の健康哲学「ブループリント」について、そしてNo.1プライオリティである「睡眠」、No.2である「食事」についてまとめていく。当記事の情報はほとんど、その映画とジョンソン氏のホームページ、あと彼のWikiページを参考としたもので、一部俺の憶測や独自調査が加えられている。なのでもし間違っていることがあれば、ぜひコメントにて指摘してくれると幸いだ。

ブライアン・ジョンソン(Bryan Johnson)とは

 アメリカの起業家、投資家、そしてテクノロジー分野の革新者であり、並外れたアンチエンジングの実践者ある。2021年に彼は、健康と若返りを科学的に追求するためのプロジェクト(およびコンセプト)である「ブループリント(Blueprint)」を提唱し、2023年にはそのガイド本「Don’t Die. Blueprint.」を出版した。また同年にはその中心概念である「ゼロの原則(Zeroth Principle)」を取り扱った書籍「We the People. Zero.」も出版された。

 現在(2025年)48歳であるジョンソン氏は、あらゆる身体機能の評価において実年齢を下回っており、特に肉体レベル(体脂肪率と筋肉量のバランス)は理想値の100%、老化速度は0.64(一年で233日しか年をとらない状態)という驚異的なスコアを叩き出している――後者に関しては20歳の上位1%と同等のレベルである。このことから彼は、自称「地球上で最も健康な人間」であると豪語している。

生い立ちとビジネスでの成功

 1977年にユタ州プロボで生まれた彼は、敬虔なモルモン教徒の家庭で育った。早くして両親が離婚したことで、彼はしばらく母親との貧しい生活を強いられることとなる。ほどなくして母親がトラック運送会社の経営者と再婚したことで、生活は再び安定を取り戻した。しかしそのとき経験は彼のなかに、貧しさへの恐れと強い野心を芽生えさせた。

 よって実業家の継父の影響を受けた彼が、後に起業家の道を志したのは必然だった。彼は2003年にブリガムヤング大学で「国際学」の学士号を取得し、2007年にシカゴ大学ブースビジネススクールで「経営学」の修士号を取得した。

 彼は同年「Braintree(ブレインツリー)」というスタートアップ企業を創業し、すぐに大きな成功を収めることとなる。BraintreeはPayPalに似たオンライン決済プラットフォームであり、いち早く「モバイル決済」に力を入れたことで急成長することができた。2012年には同様なモバイル決済アプリケーションを開発していた「Venmo」を2,620万ドルで買収したが、翌年2013年に当時eBayの一部であった「PayPal(ペイパル)」によって、約8億ドルで買収された。

 この成功によりジョンソン氏は大きな財産を築き、他の革新的なプロジェクトに投資する資金を手に入れた。翌2014年には、近未来科学技術を研究する企業に投資するベンチャーキャピタルファンド「OS Fund(オーエス・ファンド)」を、2016年には脳医学的な効果を持った革新的なハードウェアを開発する「Kernel(カーネル)」という企業を設立している。

うつ病と改宗

 一見順風満帆そうに見えるジョンソン氏の経歴であるが、私生活は必ずしも上手くいくばかりではなかった。現在バツ2の彼は、最初の結婚相手との間に3人の子供を授かっている。育児に仕事と、多忙な生活を送っていた当時の彼は、慢性的なうつ病を患っており、また毎週教会で説かれるモルモン教の教えにも疑問を抱き始めていた。

 ある日教会から帰宅したとき、彼の精神的疲労がピークを迎え、それから数日寝込んでしまうこととなる。このままではいけない! 生活を変えなければ! そう思った彼は、ついにモルモン教から脱退することを決意する。当時34歳、2011年のことだった。それによって家族とはほぼ絶縁状態となり、妻とは離婚し子供たちとは離れ離れになったが、彼の意志は揺るがなかった。

新しい宗教とアンチエイジング

 その日から彼は、「徹底的な自己管理を通して心身共に完全な健康を目指す」という新しい哲学(宗教とも呼べるもの)を実践し始めた。ありとあらゆる健康に関する論文を読み漁り、有望そうなものを片っ端から試して(自分の身体を実験台にして)、それらがどのように効果があったのか(あるいはなかったのか)を、自らの身体検査の結果とともにネットにシェアしていた。

 彼は金に糸目を付けず、世界中から買い集めた高価な医療器具を自宅に取り揃え、時に医師の協力を得てさまざまな治療を試みた。現在でも彼は、毎日100個以上のサプリメントを服用し、徹底的な食事制限を遵守し、運動、スキンケアなど大量のルーティンを毎日欠かさずこなしている。

ブループリントとゼロの原則

 2021年に彼は、彼自身が創立した企業「Kernel」と連携する容で、美容と健康の哲学「ブループリント」を提唱した。ブループリントの中心的な概念は、個人の健康と生物学的年齢を最適化することと、そのための具体的かつ実証的な手法を提供することであり、最終目的は「人類寿命の延長」および「生物学的年齢の逆転」である。

 また彼は同時に、その基盤となる考え方を「ゼロの原則(Zeroth Principle)」として提唱しており、ブループリントが個々人に最適化された具体的な健康戦略や実践手法を指すのに対し、ゼロの原則は万人の健康最適化に向けた最も基本的な原則を指す。

一部家族との和解

 三人の子供のうち息子の一人は、父親であるジョンソン氏に理解を示しており、彼は大学進学前の数か月間をジョンソン氏の自宅で過ごした。彼ら親子は「親友」と呼べるほど親密な間柄になり、ともに多くの経験を通して失った時間を取り戻すことができた。

 またジョンソン氏の継父も、あるとき認知機能に不安を抱くようになったことをきっかけにジョンソン氏とコンタクトをとり、彼の持つ専門知識やその指針に関心を示したことで、現在わだかまりは解消されている。

「ブループリント(Blueprint)」について

血漿交換実験

 ブループリントとは直訳で「青写真」を意味し、ジョンソン氏は「かつての自分の姿に戻る」という意味を込めて、アンチエイジング・プロジェクトにこのような名前をつけたのだと思われる。

 実際このプロジェクトにおいて、ジョンソン氏は息子をドナーとして月に6回、1リットルの「血漿輸血(血漿交換)」を受けていた。血漿とは血液に55%程度含まれる液体成分の一つで、血液から赤血球などを取り除いた残りの淡黄色の液体がこれに該当する。自身の血漿を若い個体のものと入れ替えることで、生物学的な若返りが期待できると、マウスによる実験から示唆されていた。

 しかしジョンソン氏は現在、血漿交換からは期待したような利益が観られなかったとして、この実験(実際は継父も巻き込んだ親子三世代による血漿交換実験)を中止しており、今後また行うつもりもないと述べている。アメリカ食品医薬品局(FDA)もまた、このような輸血治療には利益がなく、逆に有害である可能性すらあると述べている。

ブループリントの理論

  1. 睡眠は最重要事項
     一貫性のある質の高い睡眠は健康にとって最も大事である。
  2. 食事
     低糖質の生鮮食品を摂取すべし。
  3. 運動
     週に6時間(毎日1時間程度)行い、筋力トレーニング、有酸素運動、ストレッチをバランスよく取り入れる。
  4. 家族と友情
     有意義な関係を積極的に育み、コミュニティを創る。
  5. 禁忌事項
     ファストフード、ジャンクフード、喫煙、電子タバコ、過度のアルコール、ソーシャルメディアなど、中毒性のあるものは全て避けるべき。

睡眠について – 最高の睡眠を引き出す方法

 我々は皆、ぐっすり眠ったときの活力に満ちた感覚を知っている。睡眠は体を若返らせ、脳機能を高め、免疫システムに力を与え、ホルモンを調節するために重要であり、まさに健康と長寿の基盤となる行為と言える。

 もしあなたが一日睡眠をとらないのであれば、あたなの身体の新陳代謝は滞り、意識は常に酩酊している状態と相違なく、がん細胞や病原体を殺してくれるナチュラルキラー(NK)細胞の分泌量が著しく低下し、あらゆる病気リスクを高めることになってしまう。

 よってあなたが健康のために一つだけ何か努力するのであれば、それは睡眠であるべきだ。あなたはこれからプロの「スリーパー」になって、睡眠を中心に一日の計画を立てなければならない。良質な睡眠はあなたを「トップパフォーマー(最高性能状態)」に導くのだ。

①ワインドダウンルーティンの導入

 ワインドダウンルーティン(Wind down routine)とは、活動を徐々に終わらせる(winding down)ための日課(routine)という意味で、ここでは「睡眠導入のための行動」を意味する。あなたはこれから寝る前の30~60分間に、このワインドダウンルーティンを行わなければならない。眠気を誘う行動には以下のようなものがある。

  • 読書(できるだけ退屈なもの)
  • 入浴(39度以下でゆったりと)
  • 深呼吸(特定の呼吸法に則った瞑想)
  • 音楽(ヒーリングミュージックなど)を聴く

②朝日を浴びる

 起床後15~30分以内に外へ出て、概日(サーカディアン)リズムと気分を整える。自然光がない場合に備えて光療法器を購入しておくのも手。

③夜に浴びる光の調節

 室内照明の色は、夕方以降は暖色(赤が理想)へと徐々に切り替えていき、就寝時刻の1~2時間前には光量も下げて暗くしていく。そして1時間前からはスクリーンタイム(パソコンやスマホの画面を見る時間)を制限し、必要に応じてナイトモードやブルーライトカット眼鏡を活用する。

④寝室の温度調整

 就寝時の室温は60〜67℉(約15.6〜19.4℃)に保ち、通気性のある寝具と薄手の寝間着を使用する。一見寒すぎるようにも思えるが、睡眠中に分泌されるメラトニンや成長ホルモンは低めの温度での睡眠時に最も分泌されるので、深い眠りを促進するためにはこの条件が最適なようだ。ただしこれはワインドダウンに入浴を選択している場合か、またはジョンソン氏のような筋肉量の多い男性だから実践できるという可能性もあり、個々人が無理なく眠れる範囲で最低気温に設定すべきだろう。

⑤一貫した就寝時間を保つ

 毎日同じ時間に寝て同じ時間に起きるのが理想である。7~9時間の睡眠時間で自身に合ったものを設定し、ワインドダウンアラーム、睡眠トラッカーなどを駆使して一貫性を保つ。なお睡眠中の突然のアラームは心臓に負担をかけるため、ウェイクアップアラームは使用せず、自然に目を覚ますようにする。

⑥寝具の最適化

 快適なベッド、マットレス、枕に投資する。ベッドは一人当たりセミダブルサイズ以上が理想で、強度と安定性があり、通気性のいいフレームの物を選ぶ。マットレスは中程度(ミディアム)の硬さで、通気性がよく、体圧を均等に分散する機能が高い「メモリーフォーム」や「ラテックスフォーム」の物を選ぶ。枕は人間工学に則った形状で、通気性のいいラテックスフォームの物を選ぶ。

 より進んだアイテムとして、銅製の枕カバー(銅が直接肌に触れることで、抗菌作用、抗酸化作用、肌の血行およびコラーゲン生成促進作用が期待できる商品)や、温度調節可能なマットレス、高さ調節可能な枕、ノイズマシン(ホワイトノイズを出して環境音への注意を低減させる機械)なども検討する。

⑦睡眠を妨げない食事

 就寝の少なくとも2時間前(理想的には4~6時間前)に、その日最後の食事をする。就寝前に大量の食事をしてしまうと、身体には大きな代謝負荷がかかることとなり、メラトニンを生成して深部体温を下げるという、睡眠に至るまでの自然な生理的プロセスを混乱させてしまうからだ。

 また睡眠の少なくとも10時間前以降は、カフェインとアルコールを摂取すべきではない。血中カフェインの半減期は約6時間なので、就寝の6時間前にコーヒーを一杯飲むことは、寝る直前に半杯飲むのと同じとなる。夜にはリラクゼーション効果がある飲み物、例えばハーブティー(カモミール、ラベンダー、ジンジャー、バレリアンなど)や、ハチミツ入りホットウォーター、無糖カフェインレスのホットココアなどがオススメだ。

 さらに睡眠スコアを上げるには、寝る時間の4時間前以降は水分を摂取せず、それまでに摂取する水分も全て「ミネラル化」されたものにするのが好ましい。これらは夜間に尿意を催して睡眠が中断されたり、阻害されたりするのを防ぐための対策だ。ミネラル化された飲み物とは、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムなどの「電解質」が添加された飲み物であり、これらは水分保持能力が高いからして、摂取した水分がすぐに尿になって排出されるのを防いでくれる。

 ※ただし尿管結石などを患ったことのある人に関しては、この限りではなく、寝る直前までこまめに摂取すべきである。その場合もミネラル化されたものを、一度に少量ずつ飲むべきだ。

⑧睡眠を分析する

 睡眠ジャーナルやトラッカーを駆使して睡眠パターンを追跡し、それらのデータをもとに意思決定を行い、自身のルーティンを調整する。完璧な睡眠を得るためには継続的な努力が大切である。

食事について – 死なないための完全食

 ジョンソン氏が提示しているプロトコル(規定)に則って、各種情報をまとめている。サプリメントなどは具体的に商品名も示されている場合があるが、成分として替えが効く商品があればそれでも問題ない。個人によって必要な成分は若干変化するので、自分の健康状態を分析したうえで最適な選択を心がけるべきだ。もし可能なら人間ドックなどで精密検査を受けて、医師の助言を聞くのが最善だろう。

一日の推奨摂取量

  • カロリー:2250Kcal
  • タンパク質:130g(~25%)
  • 炭水化物:206g(~35%)
  • 脂質:101g(~40%)

推奨される食べ物

 以下のようなスーパーベジタブル(高い栄養素を持った野菜群)を中心として食べ、肉類は最小限に抑える。ちなみにジョンソン氏はコラーゲン(動物由来のタンパク質)を除いてはヴィーガン(完全菜食主義)であり、摂取しているサプリメントはその弱点を補うための動物由来のものも含まれている。

 よって肉を食べる場合あなたは、これらの情報を参考程度に活用するべきだろう。しかし肉食は大腸がんなど種々のリスクを増大させるので、完全な健康を目指す場合はジョンソン氏のプロトコルが現時点での最高到達点だと理解すること。

スーパーベジタブル

  • カリフラワー
  • ブロッコリー
  • キノコ(マッシュルーム)類
  • ニンニク
  • ショウガ
  • レンズマメ
  • クミン
  • キャベツ
  • キムチ
  • ビート(ビーツ、ウズマキダイコン)
  • サツマイモ
  • ひよこ豆
  • グレープトマト(ミニトマト)
  • アボカド
  • 大根
  • コリアンダー
  • ハラペーニョペッパー(メキシコ原産の中辛の唐辛子)
  • 麻の実(ヘンプシード)
     大麻(マリファナ)と同じ植物か取れる種子だが、THC(テトラヒドロカンナビノール)という精神活性成分をほとんど含まないため、精神的な影響を与えることはなく、それどころか非常に栄養価の高い食物である。人体に必要な9種類の必須アミノ酸全てを含むことから、良質なタンパク質源であり、またオメガ-3・オメガ-6脂肪酸が理想的なバランスで含まれている。他にもビタミンEやB群、鉄、マグネシウム、食物繊維などが含まれている)

果物(フルーツ)

 以下のような果物類も栄養満点だ。

  • ブルーベリー
  • ナッツ類
  • ライム
  • レモン
  • リンゴ
     どうしても後述するアップルサイダービネガーが苦手な場合そのまま食べてもいい。しかしマザーによる腸内環境改善効果は得られず、発酵で糖分が減っていないため、やや糖質過多になってしまう。
  • ハイカカオチョコレート(砂糖の摂取不可なので、実質カカオ99%以上)

飲み物(ドリンク)

 ドリンクは以下のようなものがいい。

  • ココア
     無糖、ミルクなし。一食当たり400mg以上のカカオフラバノール(ポリフェノール)が目当て。フラバノールはカテキンやカテキンガレートなどの総称で、習慣的運動とセットでアンチエイジングを発揮する)
  • マカダミアナッツミルク
     植物性ミルクの一種で、乳製品の代替品として優秀。増粘剤や安定剤としてよく使用されるグアーガムやキサンタンガムを使用していない「ガムフリー」が推奨される。なぜならガム類は一部の人にとって胃腸の不調を引きおこすからだ。

非推奨食品

  • 砂糖
  • 揚げ物
  • 高加工食品
  • ガム
  • 高果糖コーンシロップ
     氷菓、飴などに使用される、主にトウモロコシのデンプンから作られる異性化糖。
  • アスパルテーム
     低カロリーの氷菓、ゼリー、飲料、ガムなどに使用される非糖質系甘味料。
  • スクラロース
     清涼飲料水や氷菓に使用される人工甘味料。
  • 乳製品
  • パスタ
  • パン
  • 硬化油
     常温で固形化するよう加工された油脂。マーガリン、ファットスプレッド、ショートニングなどがこれに該当し、トランス脂肪酸が多量に含まれる。
  • キャノーラ油
     菜種油。心臓病を引き起こすエルカ酸(エルシン酸)が多量に含まれる。
  • コーン油
     組成からそれほど身体に悪い油ではないが、現代人では過剰摂取気味のオメガ-6脂肪酸を豊富に含む。またアメリカでは硬化油の10%がコーン油なので、悪いイメージがついている。
  • 大豆油
     サラダ油や天ぷら油、マヨネーズ、マーガリンなどの原料。コーン油よりもオメガ-3脂肪酸が多いが、それでもオメガ-6が優勢で、またトランス脂肪酸も多い。
  • トランス脂肪酸
     トランス型の二重結合を持つ不飽和脂肪酸で、揚げ物や菓子類、パン類に広く含まれる。WHOにより心臓疾患のリスク増加との強い関連が報告されており、多くの先進国ではこれに対する何らかの規制が敷かれている。
  • アルコール
     酒に含まれるエタノールは、体内で代謝されると「アセトアルデヒド」という発がん性物質に変わる。完全な毒であり、WHOは「健康にとって安全な飲酒レベルはない」と発表している。

調理法と調味料

 以下のような調味料を用いて味付けする。調理法としては、野菜は包丁で食べやすいサイズに切るか、ブレンダーで粉々にする。加熱すると栄養素が破壊されるので、できるだけ生でサラダとして食べる。もし加熱する場合は、栄養損失を最小減にするため「茹でる」か「蒸す」。特に蒸すのは最善の加熱方法。

  • ガラクトオリゴ糖(GOS)
     砂糖の約30~60%の甘味を持つ糖であり、胃酸や消化酵素で分解されにくいゆえ低カロリーで、後述するFOSやイヌリン同様、腸内善玉菌を増やすプレバイオティクスである。GOSは他のオリゴ糖より腸内環境の改善能力が優れている。
  • フルクトオリゴ糖(FOS)
     砂糖の約30〜50%程度の甘味つ糖で、GOSよりも甘みが控えめだが、同様にヒトの消化器で分解不可能ゆえ大腸まで届き、ビフィズス菌などの善玉菌の栄養素となる。特にFOSの一つである「イヌリン」は整腸作用が高い。
  • オリーブオイル(エクストラバージンオイル)
  • チリパウダー
  • アップルサイダービネガー
     リンゴ果汁のみを材料として加熱せずに作られたリンゴ酢。アルコール発酵(酵母菌によって糖分がアルコールへ変化する発酵)と酢酸発酵(酢酸菌によってアルコールが酢酸へ変化する発酵)の2段階発酵を経て生成され、その過程で生まれる「マザー」と呼ばれる天然の酵母や細菌が含まれる。
     これが大腸まで届くことでヒトマイクロバイオーム(腸内細菌叢)を改善する。非常に栄養価が高い一方で、強い酸性ゆえのくどい酸味が特徴で、摂取するときは調味料として少量料理に加えるか、原液を10倍程度に薄めて飲む)

サプリメント(一日の摂取量)

  • 基本的なビタミン全般
     それぞれ健康機関が示す一日推奨摂取量を目安に、安全性やコスパを吟味して最良の商品を選んで摂取する。
  • コラーゲン 11g
     皮膚や関節に弾力性を与えるタンパク質。消化過程でアミノ酸やペプチドに分解されるが、これらはそのままコラーゲンの原料として体内で使われるため、経口摂取にも一定の効果が認められる。ただし合成にはビタミンCや亜鉛、銅なども必要なので、それらとの同時摂取が推奨される。
     コラーゲンは分子量が大きいので、本来はほとんど分解吸収されないが、加水分解によって予めペプチド(低分子量)に分解し、吸収されやすく加工した「加水分解コラーゲン(コラーゲンペプチド)」であれば摂取する意義は向上する。
  • クレアチン 2.5g
     体内でエネルギー源として貯蔵され、糖との同時摂取で骨格筋への取り込みが促進される。瞬発力向上に有効で、野菜にはほとんど含まれない。
  • ルテイン 15mg と ゼアキサンチン 3mg
     どちらも目の網膜や黄斑の構成物質で、これを5:1の比率で摂取することで視力の維持に役立つ。
  • N-アセチル-L-システイン(NAC) 1500mg×2
     主要な内因性抗酸化物質であるグルタチオンの抗酸化前駆体であり、摂取するとグルタチオンの血中濃度を上昇させることができる。
  • 紅麹米べにこうじまい抽出物 500mg
     発酵した米で、ロバスタチン(モナコリンK、メバコール)という血中コレステロールを下げる成分が含まれる。同じくLDL(悪玉)コレステロール値を下げるスタチン系薬剤と併用すると相乗効果で効きすぎる可能性があるため注意。
  • 無臭のニンニク 100mg
     ニンニクに含まれるアリシンは、血管を拡張させ血圧を低下させたり、血栓形成、動脈硬化の予防に繋がる成分だが、独特の強い匂いがあるので、それを無臭化したもの。血液凝固剤の効果を打ち消す可能性があるので注意。
  • クルクミン 220mg
     ウコンの主成分。抗炎症作用や抗酸化作用などさまざまな薬効が報告されているが、有用性については研究段階。
  • EPA/DHA/DPA 835mg(EPA 300mg、DHA 500mg、DPA 35mg)×2
     どれもオメガ-3脂肪酸に分類される必須脂肪酸であり、脳、網膜のリン脂質に含まれる脂肪酸の主要な成分である。主に魚介類(特に青魚の魚油)に含まれ、摂取後体内ではEPA→DPA→DHAと変換されることが多いので、主にDHAとして存在している。
  • キョ―リック(Kyolic)の熟成ニンニク抽出液 1.2g×2
  • プロブチレート(ProButyrate) 600mg
     腸内フローラや消化器系の健康をサポートする成分「ブチレート」の化合物。体内でブチレートに変換されて、腸内細菌の栄養となる。
  • プロフェリン(Proferrin) 10.5mg×2
     鉄分(Fe)を補充するためのサプリメント。含まれるのは「ヘム鉄」であり、これは野菜から摂取が難しく、ヘモグロビンやミオグロビンの材料となる。
  • NR(Nicotinamide Riboside:ニコチンアミドリボシド)450mg もしくは NMN(Nicotinamide Mononucleotide:ニコチンアミノモノヌクレオチド)500mg
     どちらもナイアシン類似体であり、体内で「NAD+(ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド)」という重要な補酵素に変換される。NAD+は、細胞のエネルギー生産、DNA修復、老化の進行に関連するさまざまな重要な生理的過程に関与している。NMNは体内で直接NAD+に変換されるため、理論的はより速やかにNAD+を増加させる。
  • アカルボース(Acarbose) 200mg
     2型糖尿病の治療に用いられる成分。腸内で消化酵素であるα-グルコシダーゼの働きを抑えることによって、糖の吸収を遅延させ、食後の急激な血糖値上昇を防ぐ。
  • メトホルミン(Metformin)500mg×2
     同じく2型糖尿病の治療薬。肝臓での糖の生成を抑制する。
  • プラズマローゲン(Plasmalogen)Galia PC+ と Neuro PC+ を各1mL
     プラズマローゲンとは細胞膜を構成する重要なリン脂質の一種で、細胞膜の構造を安定させる役割を持つほか、抗酸化作用や神経保護作用も有している。脳神経細胞でこれが不足するとアルツハイマー病やパーキンソン病のリスクが増加する。
     Galia PC+とNeuro PC+はProdrome(プロドーム)というブランドの商品で、プラズマローゲンの他、PC(フォスファチジルコリン)や他の有効成分をプラスして、記憶力や認知機能をサポートする健康補助食品となっている。

お終いに – あなたはどこまで不老になれるか?

 さて今回はここまでだ。主に精神的・経済的な理由により、ジョンソン氏の生活を全てトレースするのは、ほとんどの人にとって不可能だろう。しかしもともと平均寿命が長い日本人は、その文化のなかに長寿への神髄が秘められているはずであり、また実際に世界長寿番付にも複数の日本人が名を連ねているのである。
 だからこれらの情報のいくつかだけでも、自分の生活に取り入れることができれば、健康で若々しい状態での「100歳越え」も全く夢ではないはずだ。もちろん永遠を目指すのなら、100歳は単なる通過点でしかないわけだが、つまるところは「完全な健康を手に入れれば、俺たちは選択権を得ることができる」ということである。
 それが実現した世界では、俺たちは「生きたいと思えるだけ生きればいい」のだ。もし全てをやり終えたと思ったときもご心配なく! そのころには安楽死は全人類の権利になっているだろうから……。とは言えぜひとも、「永遠に生きたい」と思えるような豊かな人生にしたいものである……。それでは最後まで読んでくれてありがとう。次回の続きも乞うご期待!

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