
ネットショップ開設したよ!
前回の記事で「ネットショップを創ってみたい」という願望を吐露した俺だったが、実はここ数日、それを実現しようと必死に頑張っていたのだ。鬼のように時間が掛かったが、ようやくサイトの基盤は完成したので、早速お披露目したいと思う。これがそのサイトだ。
いつものごとく、大したサイトではない(笑) 作業が長くなるのは毎回、俺が外観にこだわりすぎてしまうからだ。既存のテーマをカスタムするのは簡単なようで、そうでもない……(イチから全部作るよりはマシという程度だ)。
毎度まいど、変化させたい要素を指定するための「セレクター」特定に時間が掛かってしまい、本当に鬼のように時間が掛かる(それ言うの二回目ー!)。賢くスピーディーなやり方があるのかもしれないが、俺の持つスキルではそれが限界だ……と、ともかく! サイトは完成したので、これからグッズを製作したりして商品ラインナップを増やしていくつもりだ(普通にフリマアプリみたく持ち物を出品することもあるかも)。
まだ決済サービスの審査などが終了していないので、クレジットカードやPayPalなどでの支払いはできないが、古典的かつ確実な「銀行振込」だけは使えるようにしてあるので、気が向いたときにでも「ご来店」してくれると誠にありがたい(もう商売人みたいな喋り方に! その内お店のキャッチコピーとか歌まで創りそうで怖い)。
さて、お披露目は済んだので、今回の記事はこれで終わり……なんてのはあまりに芸がないので、今回はネットショップ開設に際して学んだ”あれやこれや”を、備忘録も兼ねてマルっと解説することにする。それでは本題に入ろうか。
ネットショップ(ECサイト)の作り方
ネットショップはAmazonなどの既存のショップに出店する方法と、自分のサイトを持つ方法があり、基本的にどちらも有料のサービスを使用して月額使用料や売り上げから手数料を引かれる仕組みになっている。無料で行う方法もなくはないが、ネットショップは極めてセキュリティが重要になるサービスのため、ある程度の手数料は仕方ないと割り切るべきだ。
そのうえで、現在もっともサイトのカスタマイズ性やコストパフォーマンスが高いネットショップの開設方法は、WordPressで「WooCommerce(ウーコマ―ス)」というプラグインを使用する方法である。WooCommerceはネットショップに関する基本的な機能を無料で提供してくれる(手数料は決済時に売上金から差し引かれる)。ここではWooCommerceを使ったネットショップ開設の手順や、その際知っておくべき情報などを説明する。なおホスティングサービスはロリポップのレンタルサーバーを前提とする。
ショップ開設までの手順
①Wordpressのインストール
ロリポップ内で「サイト作成ツール」 > 「WordPress簡単インストール」をクリックする。「サイトURL」欄に、新しくインストールするサブディレクトリ名を入力する(例:yourdomain.com/shop)。「利用データベース」はそのままでOK。「WordPressの設定」欄に、サイトタイトル、ユーザー名、パスワード、メールアドレスなどの必要な情報を入力する。「入力内容確認」ボタンをクリックし、内容を確認したら「インストール」ボタンを押す。
②WooCommerceの導入と初期設定
新しいWordPressサイトにログインし、プラグイン > 新規追加から「WooCommerce」を検索してインストール・有効化する。有効化すると、初期設定ウィザードが表示されるので、以下の情報を入力する:
- ストアの詳細: 住所、業種、販売する商品タイプなど。
- 支払い方法: クレジットカード、PayPal、銀行振込などの設定。
- 配送方法: 配送地域や送料の設定。
- 税設定: 税金の計算方法や表示方法の設定。
③テーマとプラグインの導入
ネットショップのデザインを決めるために、WooCommerce対応のテーマを選ぶ。無料のテーマ「Storefront」がおすすめ。テーマをインストールして有効化し、任意のカスタマイズを施す。また必要に応じて、以下のようなプラグインを追加する:
- SEO対策: Yoast SEOなど。
- メールマーケティング: Mailchimp for WooCommerceなど。
- 日本語対応: Japanized for WooCommerceなど。
④商品の登録とサイトのテスト
商品 > 新規追加をクリックし。商品名、説明、価格、在庫情報、商品画像などを入力する。必要に応じて、カテゴリやタグを設定する。すべての設定が完了したら、サイトを公開してテスト注文を行い、購入プロセスが正常に動作するか確認する。
商品を追加に関して
商品画像は600px以上のJPEGまたはPNG。推奨サイズはカタログ画像で500px以上、単一商品画像で800px以上、サムネイル画像で300px以上となる。縦横比率は1:1の正方形が一般的だが、商品によって自由に選択可能。
商品には「タグ」を追加するといい。カテゴリーよりも詳細な情報を付加して、顧客が商品を検索しやすくなる。また「グループ化された商品」とは関連商品のセット販売であり、個別購入も可能なので、複数の関連する商品がある場合は、こちらを利用すると管理が簡単になる。
在庫管理で出てくる用語
以下に出てくるようなコードはつまりは商品の識別方式であり、ビジネスが大規模かつグローバルになればなるほど必要になってくる。ほとんどの個人が営む零細商店では利用せずともよい。
①SKU (Stock Keeping Unit):
在庫管理の最小単位で、企業が独自に設定する商品コード。サイズや色、デザインなどの違いを識別するために使われる。例えば同じTシャツでも、色やサイズごとに異なるSKUが設定される。
②GTIN (Global Trade Item Number):
国際的に標準化された商品識別コードで、UPCやEANなどを含む総称。商品がどこで生産されても一意に識別できるようにするためのコード。
③UPC (Universal Product Code):
主に北米で使用される12桁のバーコード。食品や日用品など、ほとんどの小売商品に印刷されている。
④EAN (European Article Number):
主にヨーロッパで使用される13桁のバーコードで、JANコードとも呼ばれる。日本のJANコードもこのEANの一部。
⑤ISBN (International Standard Book Number):
書籍を識別するための国際標準コードで、10桁または13桁の番号。書籍の裏表紙に印刷されているバーコードがISBN。
WooCommerceの手数料
WooCommerce自体は無料で利用できるが、決済手数料がかかる。例えばWooCommerceが提携している決済プラットフォーム「Stripe(ストライプ)」を利用する場合は、クレジット決済で3.6%、PayPal決済ではさらに+40円、WooCommerceが備えているPayPal決済を利用する場合は5.4%、銀行振込(国際仕様)の場合は1.5%の手数料がかかる。よって銀行振り込みがもっとも低コストになるが、クレジットカードの決済ゲートウェイを利用する場合はStripeがもっとも有利となる。
顧客がクレジットカード決済を選択した場合、セラーは手数料の面でやや不利になるが、クレジットカード決済が可能であることは、購入確率を上げるうえで重要なので、そこは必要経費だと割り切る他ない。また、後述する日本仕様の銀行振込では、仲介するサービスが皆無のため、実質手数料ゼロで利用することができる。
決済方法の設定と日本対応「銀行振込」の追加
WooCommerceの「設定」→「決済」から各種決済方法の有効化と設定ができるが、そこにある「直接銀行振込」は国際口座形式の仕様のため、日本国内では使えない。日本で銀行振り込みを使うためには、「Japanized for WooCommerce」というプラグインを使用する必要がある。
「新規プラグインを追加」から「Japanized for WooCommerce」をインストールすると、ダッシュボードのWooCommerceメニューに「日本対応」が追加される。そこの「支払方法」タブから「銀行振込(日本国内向け)」にチェックを入れて保存すると、WooCommerce設定の「決済」タブに新しく決済ゲートウェイが追加されるので、それを有効化して「管理」を選択する。
表示される画面の各入力欄に必要事項を入力し、「変更を保存」を押すと準備が整う。あとは自分のサイトで商品を買い物カゴに入れ、支払いに進んで各情報を入力し、支払い方法で追加した「銀行振込」を選択し、テスト注文を確定させる。注文完了画面にて設定した口座情報などが表示されれば完了。
銀行振込での注文の場合、ステータスは「保留中」となり、セラーは手動で振り込みを確認することになる。確認でき次第、WooCommerceの「注文」より該当の注文ステータスを「処理中」または「完了」に変更し、商品の発送を行う。注文をキャンセルする場合は、同じく「注文」セクションにてステータスを「キャンセル済み」に変更する。すると自動的に購入者宛てにキャンセル通知メールが送信される。
不正な配送先住所を検出する方法
①Googleマップを使用する
地図アプリを使って配送先住所が実在するか確認する。最も手軽かつ効果的。
②過去の不正注文情報との照合
過去に不正があった注文情報をデータベースに蓄積し、新しい注文と照合する。大抵は手動で行うことになるだろうが、規模が大きくなった場合にはそれでは対応できないので、PythonやJavaScriptでスクリプトを組むことになる。
③住所確認サービスの導入
注文時に入力された住所が実在するか判定してくれるサービスを利用する。例えばGeoTechnologiesの「住所確認サービス」や、ナビットの住所チェッカーなどがある。
④3Dセキュアなどの本人認証
クレジットカード決済時に、セキュリティコード(CVV)の入力や3Dセキュアによる本人認証を導入することで、不正利用を防ぐ。カードが本物であれば、不正注文である可能性は減少する。
その他に知っておくべきこと
ネット販売の「特定商取引法」について
①クーリングオフ
ネット販売において、クーリングオフ制度は基本的に適用されない。クーリングオフは訪問販売や電話勧誘販売など、消費者が不意打ち的に契約を結ばされる可能性がある場合に適用される制度で、ネット販売の場合、消費者が自ら商品を選んで購入するため、クーリングオフの対象外となる。
しかし特定商取引法に基づき、セラーは返品条件を明確に表示する義務がある。返品条件が表示されていない場合、消費者は返品を要求することができる場合がある。
②返品・返金の可能性
返品や返金に関しては、法律で義務付けられているわけではないが、消費者契約法や特定商取引法に基づき、広告や契約内容に基づいた対応が求められる。例えば、商品に欠陥がある場合や、広告と実際の商品が異なる場合には、返品や返金に応じる必要がある。
③まとめ
つまり返品ポリシーを明確にし、商品に欠陥や破損が生じていない場合では、セラーには落ち度がないと見做され、返品・返金の義務は生じない。もっとも、どんな場合でも消費者に対して誠実に対応することが重要で、これによりトラブルを未然に防ぎ、顧客満足度を高めることができる。
Stripeの税金自動徴収について
Stripeは「Stripe Tax」という仕組みを用いて、売り上げに対する税金を自動的に計算し、徴収する機能がある。 税金の計算は顧客の所在地情報を基に、適切な税率を自動的に計算する。これには、消費税(日本の場合)、付加価値税(VAT)、物品サービス税(GST)などが含まれる。利用するには0.5%の追加手数料が必要になる。また「徴収」という言葉で勘違いしやすいが、あくまでこのサービスは税金額を計算してくれるだけで、納税の金額や手間は変わらない。
例えば、通常あなたが1000円の商品を販売し、その価格を税抜き価格(外税)として設定している場合、顧客がそれを購入するには10%の100円を消費税として上乗せして払う必要があり、もし決済がクレジットカードだった場合、Stripeはそこから3.6%の39.6円を差し引いた1060.4円をあなたの売上金として入金する。あなたはそこから1060.4円(売上金)/ 1.1(税率)= 964円(税引き価格)を利益として受け取り、残り96.4円を消費税として税務署に支払う必要がある。※収める税金が100円よりやや少ないのは、Stripeから引かれた3.6%が「クレジットカード決済手数料」という扱いで、非課税となるため。
ここでもしStripe Taxを利用した場合、この税金計算が自動化される代わりに、0.5%の追加手数料が生じて、売上金は1054.9円、手取りは959円、税金は95.9円となる。日本人が日本でのみ販売する分には、基本的に消費税しかかからないため、税金の計算は「売上金÷1.1×0.1」で済むが、他の国で販売したりすると日本の消費税はかからない分他の税金がかかったりと、税金計算が複雑になるため、Stripe Taxを利用するメリットは向上する。
フリマアプリはなぜ消費税の納入が必要ない?
フリマアプリ(例えばメルカリやラクマなど)では、個人間の取引(CtoC)が主なため、通常の消費税の取り扱いとは異なるシステムが使われる。個人が販売する場合、消費税の課税事業者でない限り、消費税を徴収する義務はない。個人が自分の所有物を売る場合、それは「非課税取引」として扱われ、消費税の対象外となる。
また2023年10月から導入された「インボイス制度」により、BtoB(事業者間の取引)では適格請求書(インボイス)が必要となったが、個人間取引ではこの要件も適用されない。
なぜネットショップは課税対象?
たとえ個人であっても、ネットショップ開いた場合は取引が「事業」として扱われ、課税対象になってしまう。つまり個人であっても「事業者」として扱われるのだ。消費税法では、事業者が行う取引に対して消費税が課されると定められているので、ネットショップでの販売は個人間取引ではなく、事業者としての取引(BtoC)として扱われる。
しかし消費税の課税対象となるのは、前々年の課税売上高が1,000万円を超える場合に限り、ネットショップの売上がこの基準を超えると、初めて消費税の納税義務が発生する。つまり小規模ビジネスで売り上げが少ない場合、消費税はほとんど意識する必要なく事業が行えるということで、このような事業者は「免税事業者」と呼ばれる。
ただし「適格請求書発行事業者」の場合は別で、課税対象となる。適格請求書発行事業者とは、税務署に申請し、審査を受けて登録された登録番号を持った事業者で、取引先に対して適格請求書(インボイス)を発行することができ、取引先は「仕入税額控除」を受けることができるようになる。自社の製品の価格を下げずに取引先に有利な条件を提示できるようになるというメリットがあるが、この登録のためには「課税事業者」である必要があり、通常免税事業者は登録できない。
そこで免税事業者であっても、税務署に「消費税課税事業者選択届出書」を提出することで、自ら課税事業者になることができるシステムがある。そうするメリットは先に言ったように、インボイスを発行して取引先と契約を結びやすく、また関係を維持しやすくできることである。またそれを可能にしている仕入税額控除という制度の恩恵を、自身も享受することができるようになる。
仕入税額控除?
例えば、あなたが商品を販売して1100円(1000円の商品価格 + 100円の消費税)を受け取ったとする。この場合、100円の消費税を受け取ったことになる。対して、その商品を仕入れる際に、880円(800円の仕入価格 + 80円の消費税)を支払ったとすると、この場合、80円の消費税を支払ったことになる。売上時に受け取った消費税(100円)から、仕入時に支払った消費税(80円)を差し引くと、差額が20円となり、これが実際に税務署に納付する消費税額となる。
つまりは仕入税額控除とは、売上にかかる消費税額から、仕入れや経費にかかった消費税額を差し引くことができる制度で、もし支払った消費税の方が多い場合は、その差額が還付されることになるので、特に高額な設備投資を行う場合や、売り上げが減少した場合に有利となる――ビジネス拡張の後押しをする制度と言える。
このように仕入税額控除を利用することで、事業者は消費税の二重払いを避けることができ、実際に負担した消費税のみを納税することができる。もっとも、税額が控除されても仕入れ値より売り上げが大きい場合はゼロにはならないので、免税事業者の方が有利(先の例では20円分)なことは変わらない。しかし課税事業者は先に説明したようなメリットがいくつか存在するので、そのためのコストを削減できるこの制度はしっかり覚えておく必要がある。
お終いに
俺はビジネスに関してはめっぽう疎いので、最初は課税事業者と免税事業者の違いも知らなかった。だから「個人でネットサイトを運営したら売り上げから10%も税金を払わなきゃいけないのか~……それってメルカリの手数料と同じじゃん! それにプラスして決済手数料なんて払ってたら商売上がったりだよっ!」とか考えていた。それくらい「納税義務がある」かのように思えるほど、決済プラットフォームのStripeではその辺りの手続きを入念にチェックしてくるので、騙されたのだ。よくよく考えれば消費税は、その名が示す通り「消費者」に課される税金なのだ。
またクーリングオフがネット通販では適用されないという情報も、目からウロコだった。定義も含めて学校で習っているはずなのだが、どうも思い込みというものは恐ろしい。契約に返品ポリシーが記載されていない場合なら、どんな商品でも購入から8日以内であれば返品可能だと思っていた人(あるいは今でも思っている人)は、俺だけではないはずだ。
そんな( ゚ ρ ゚ )ボーっと生きている俺であるが、自分のECサイトを持ったからには、一人の「事業者」としての意識を強く持って、これから商品の制作や販売に努めていこうと思う(でなければチコちゃんに叱られてしまう)。まぁ俺のサイトで買い物してくれるような”物好き”な人はそうそういないだろうから、ゆったりやっていこうと思うよ。基本はフリマアプリを物販の主軸にしているので、そこで培ったノウハウを活かせればいいな。
それでは長くなってしまったので、今回の記事はここまでとしよう。最後まで読んでくれてありがとう。また次の記事で会おう。
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