
第五十二章 – 青春時代② 高校生活 Ep.39:悲しき未完の複数対等愛(ポリアモリー)
エリスの高校生活㉛ 悲しき未完の複数対等愛(ポリアモリー)
前回に引き続き、2042年4月17日(木)の模様をお届けしよう。この日モーザー学校では、ダニエルの『ぶっちゃけあり得ない言動』によって、エリスと彼との交際が周知の事実となったわけだが、やはりと言うべきか、あれから一日が平穏に過ぎるはずもなかった。
前回二時間目の終わりに、トイレの個室にてニコラから質問攻めを受けたエリスであるが、あろうことかその後、四時間目の終わり(1時間20分のお昼休み)においても、同様に呼び出しを食らうことになる――ちょうど、彼がカフェテリアでランチを食べていたところに、ソフィーとキアラが同時にアプローチをかけてきたのだ(彼女らは一緒に来たわけではなく、タイミングがたまたま被った)。
二人はエリスをトイレの個室へと呼び出し(この学校はトイレの個室以外、密談できる場所がないのか……)、彼がそれを丁重にお断りしたところで、堪え性がないソフィーが「どうしてですの!? ワタクシと話すのがそんなに嫌なんですの!?」とプチ・ヒステリーを起こしてしまう。対してエリスは、テーブルに載っている『ラズベリー・タルト(最後に食べようと取っておいた)』と同じくらいに顔を赤らめながら、こう理由を述べるのだ。
「だ、だって! 僕、男の子だもん……女子トイレには、入れないよ……」
ソフィーとキアラが顔を見合わせる。二人ともすっかり、それをお忘れだったようだ。
*
結局、密会場所は音楽室になった(※これまた偶然にも、ここも以前、エリスがソフィーを呼び出した場所。ニコラとのトイレの個室みたく、立場が逆転している)。到着早々、音楽室と音楽準備室とが空なことを確認したソフィーが、気まずそうに佇んでいるエリスとキアラのところに戻って、本題を切り出す。
「早速ですが、単刀直入に聞きますわ。今朝、ロッカー前でダニエル・シャステルが言っていたことは、本当なんですの?」
やはり来たか……。同じ尋問を日に何度も受けるものだから、エリスは自分がまるで、『重大事件の重要参考人』にでもなったような気分だった(いちおう去年、被害者の立場で似たような経験はしてるので……)。しかしこうなったからには、致し方ない――正直に気持ちを打ち明けて、二人に納得してもらう他なかろう――。
「うん、事実だよ……僕たち、去年の”あの日”からお付き合いしてるんだ……ごめんね、今まで黙ってて……」
するとソフィーが、驚異的な思考速度で状況を把握する。「去年の”あの日”……あぁなるほど、そういうことでしたのね? ようやく合点がいきましたわ」だがその結論には、多分に彼女の”既成概念”が含まれていた。「エリス、あなた……大方『彼への同情心から、交際を余儀なくされてる』んですのね? もしくは彼に無理強いされたんですの? あぁ何て労しい!」
エリス「ち、違うよっ! 僕もダニエルのことが好きだからだよ! どうしてそんな酷いこと言うの? それこそダニエルが可哀そうだよ!」
ソフィー(エリスに詰め寄りながら)「ワタクシだって! ワタクシだって……彼のことは気の毒に思いますわ……けどっ……どうしても理解できないんですの……あなたたちがカップルだなんて……そんなのまるで……」そこで口を噤む彼女。『美女と野獣(La Belle et la Bête)じゃありませんの……』彼女はそう言いかけたのだが、それはさすがにダニエルに悪いと思ったのだ。それにエリスにも……(彼女は無意識にまた、彼を『女』と定義してしまっていた)。
エリス「そんなのまるで……? 何なのソフィー? はっきり言ってくれなきゃ分かんないよっ!」
なおもソフィーは沈黙を貫いた。言ってしまいたい欲に打ち震えながら……。『美女と野獣』なんて”現象”は、現実には起こり得ない……あるはずがないっ……一見そう見える関係でも、実態としては美女側が”財産目当て”で近づいているだけ……そこに少しばかりの『愛』という名のスパイスを漂わせて……(これ余談なんですけど・・・ディズニー映画の『美女と野獣(Beauty and the Beast)』に出てくる”野獣”って、かなりハンサムだよね……)。
外見のレベル――ひいては遺伝子こそが、その人間を定義するほぼ全て!! 存在の次元での正しさぁぁぁっ!! なのにエリス、あなたは……あなたって人はぁぁぁぁぁぁ!! この世の”プリンセス”にすらなれるほどの器に生まれついたくせにぃぃぃぃぃぃぃ!! どうしてそう欲がないんですのぉぉぉぉぉぉ!! ダニエル・シャステル”ごとき”パートナーで満足なんでしたらぁぁぁぁぁぁ、ワタクシに”そのポジション”を寄越しなさいよぉぉぉぉぉぉ!!!
彼女の内なる非難を何となく感じ取ったエリスは、悲し気に愁眉してこう続ける。
「他人を好きになるのに、理屈なんてないよ……君だって分かってるはずだよね、ソフィー……? 『誰かに恋をする』って気持ちは、簡単に作ったり消したりはできないんだ……」
ソフィー「でも『勝ち負けはある』! そうなんですわよね!? それって『理屈があるから』じゃありませんの!?」彼女の目に涙が滲む。もう頭のなかがグチャグチャで、どうにかなってしまいそうだった。『恋心は理屈じゃない』なんて”理屈”を捏ねられたって、到底受け入れられない――結局は自分の望みは叶わずに、悲しい思いをするだけ! そんなのはもう懲りごりだった――。
「ワタクシだってあなたを愛してますわ! それはもう狂おしいくらいにっ!! ねぇ教えてくださいなエリス! ワタクシのこの気持ちは、『ダニエル・シャステルのもの』よりも劣ってるんですのっ!? そしてどうかっ! どうかこれも教えてくださいましっ! ワタクシは『何をどうすれば、あなたに選んでもらえる』んですのっ!? 分からない……もう何も分かりませんわっ!!」
とうとう泣き始めてしまうソフィー。誰よりも美しく高貴な存在でありたいと願い続けてきた彼女は、成長するに従い段々と身の程を知り、実はいつも傍にいた『自分の召使い』こそが本物のプリンセスなのだと悟るに至った。屈辱にまみれながらも彼のことを憎み切れず、あげくプロポーズして玉砕して、それからバンド活動を通して隣にいる『キアラ』という恋敵とも衝突し、最終的には”痛み分け”というかたちで剣を収めたのだ。
『彼が誰のものでもない』こと、それだけが彼女の心の平穏を保ってきた。だが本日、突然の”嵐の襲来”により、彼女の安寧は完全に砕かれた。敵国の奇襲、同盟国の裏切り……この戦乱の世にあって、どうすれば”中立”を保っていられようか! 自分はスイス人ではあるが、骨の髄まで『永世中立』なわけでは断じてない! だからこんな苦しみには耐えられない……もういっそのこと、内なる魔女を解き放ってしまおうか――。
つい、そんな考えが脳裏を過ってしまう彼女だったが、しばらくは無理そうだ――今はひたすらに悲しくて悲しくて……とてもそんな”元気”にはなれない……。できることはただ一つ、先ほどからずっと傍観を決め込んでいる『隣国に、共同戦線を申し出ること』だけだ。「キアラ……あなたからも何か言ってやりなさいな……悔しくないんですの……こんな……」
するとキアラが、緊張で口内に溜まっていた唾をゴクリと飲み込んでから、ようやくその重たい口を開く。「あ、いや……アタイはただ、『ヴァルキュリア(彼女らのバンド)』の今後の活動について、お嬢と話し合いたかっただけで……色恋の話は、あんまし……ちょっとタイミングが悪かったみたいだからさ、アタイはまた出直すよっ――」
そうしてその場を立ち去ろうとするキアラに対し、ソフィーはひと言「意気地なしっ……」と罵倒する。だがその程度の挑発では、キアラの脚は止まらなかった。そりゃあ、自分だって彼に言いたいことはある――いや、あったはずだ……。でも本当は何が言いたくて彼のところに行ったのか……今や自分でもそれが分からないのだ……。
ただ、何と言うか……今しがたソフィーに責め立てられていたときの、エリスのあの悲し気な顔を見ていたら、どうしても居たたまれなくなって……言うべき言葉も忘れてしまったのだ。すまないね、お嬢……アタイらみたいな『脇役』が未練たらしく、いらぬプレッシャーばかり与えてしまって……もうアタイは身を引くよ……こんな勝ち目のない戦い、辛すぎるだけだ――。キアラが音楽室のドアを開こうとしたそのとき――。
「本当にごめん……キアラ……」エリスの震えた声がそれを妨げるのだ。「きっと君だって傷付いたよね? 嫌な思いしたよね……? だったら遠慮しないで? 僕に言いたいこと、言って?」
バキンッ――。キアラのなかで、何かの枷が外れる音がした。一年半前から、ずっとずっと心の奥底に封じ込めていた感情が、欲望が……涙とともに溢れ出してくるっ――気づけば彼女は踵を返して、そのバンド仲間のところへと戻っていた。音楽とは無関係な話をするために――。
「だったら言わせてもらうけどさっ――」キアラがエリスの方へと迫っていく。自分がソフィーと丸っきり同じ表情を浮かべていることは、重々承知していた。チクショウ、これでアタイも『ヒステリー女』の仲間入りかよっ――。「あんた前に言ってくれたじゃんよ! 『アタイとソフィーは特別だ』って、『だからソフィーの気持ちを無視して、アタイと付き合うことはできない』って! なのに”アイツ”とは付き合うのかよっ!? そんなんあんまりだわっ!!」
エリスの胸に一発パンチをお見舞いしてから、幼子のように両手で涙を拭うキアラ……。どれだけ突っ張っていても、尖っていても……結局自分も一人の少女に過ぎないのだと、思い知らされる……。好きな男の子のことで、こんなにも胸が苦しくなるのだからっ――。
キアラ(泣きじゃくりながら)「アタイらのことなんて、ホントはどうでもいいって思ってんだろぉ? だったら『特別だ』なんて嘘つくのはやめて、バッサリ”切って”くれやっ……アタイ、こんな宙ぶらりんな状態はもう……身が持たなぃ……くっ、ふっ……」
そんな彼女の様子を見ながらソフィーは、どこか胸がすく思いだった。あのキアラが見たこともないほど取り乱している……それだけで、『恋心に優劣はない』のだと分かる……。いいわ。認めてあげましてよ、キアラ……あなたが『ワタクシの恋敵』であると……だから今日だけは、一時休戦と行きましょう――。
エリス(必死に涙を堪えながら)「ご――んっ――ごめん……でも君たちが特別なのは、本当なんだ……だから僕も辛いんだってこと、分かってほしい……だって恋愛って、誰か一人に決めないと、でしょ……? だったら特別な人たちのなかから、一番特別な人を選ぶしか……」
そこで何かに気づき、口を噤む彼。そう……謝らなければいけない人たちは、他にもいる――南アフリカにいるテムバと、日本にいるカイトだ……。いずれ彼らのことも、彼女らみたく傷つけてしまうのだろう……そう思ったらエリスは、血の気が引く思いだった。
キアラ「アタイさ……今でもときどき眠れなくなるんだ……あんたのことを考えて、『好き』って気持ちが抑えらんなくなってさ……そんでやっと眠りに就いたと思っても、またあんたが夢んなかに現れてさ……胸がキュンッて締め付けられて、どうしようもなく切ない気持ちで目を覚ますのさっ!」
彼女が彼に縋り付く。この匂い、この手触り、この息遣い……同じ学校に通っていて、同じバンドの仲間でもあるはずなのに、感じたのは随分と久しぶりに思える……。あの、一年半前の『合同練習の日』……あの日、確かに自分は、『彼の一番』だった……たとえつかの間でも、お情けであっても……紛れもなく『一番』だったんだ……。なのに今の自分は、もしかすると『ランキング圏外』の可能性すらある……だって彼が普段誰といて、何をしているのかさえ知らないのだから……自分が『特別』だって思える根拠が、何一つないのだからっ――。
キアラ「好きだお嬢っ! あんたが大好きなんだっ!! なぁお嬢っ、必ず『一人に決めなきゃダメ』なのかよ……『みんなあんたのことが好き。あんたもみんなのことが好き』……ならもう、それでいいじゃんよぉ……アタイは別に、あんたの二番手……いや『三番手の愛人』でもいいからさぁ……傍にいさせてくれよぉ……」
エリス(キアラを抱きしめたい気持ちをグッと堪えながら)「け、けど……それじゃ逆に傷つく人もいるんじゃ……それに、ダニエルにも悪いよ……」
「あんなクソナード、知ったこっちゃありませんわっ!」ソフィーもキアラに倣い、想い人の胸へと飛び込む。「そもそもとして、あなたのような”公益”が、誰か一人に独占されること自体、不健全なのですわっ! 『最大多数の最大幸福』! 端っからもっと、功利主義的に考えるべきでしたのよっ――」
そう言うと彼女は、無理やりエリスの唇を奪って、彼を床へと押し倒していく。そして抵抗の隙も与えぬままに、彼の上に跨って、身に着けているロリータ・ドレスを脱ぎ始めるのだ。「ワタクシは賛同いたしますわ……『複数対等愛』……上等ではありませんのっ……」どうやら彼女は、”内なる魔女”を解き放つ決心をしたようだ。
「あっ、アタイもっ――」次いでキアラも、エリスの頬にチュッとしてから、ゴシック・ドレスの胸元の紐を緩めていく。されるがままのエリスは、ただ恥ずかしそうに彼女らから顔を背けては、「や、やめてっ、二人ともっ!」と叫ぶことしかできない。
「嫌ならもっとちゃんと抵抗しなさいな……男の子でしょ……?」ドレスを頭から脱ぎ捨て、下着姿になったところで一度、立ち上がるソフィー……彼女が冷徹な目で床のエリスを見下ろすと、なおも彼は目を逸らし、小刻みに震えたまま、「君たちに……乱暴はできないよ……」と返してくる。これがソフィーのプライドを傷つけた。
乱暴は、できない……ですって……? 全く舐め腐ってますわね、この子はっ! いいですわっ! ならすぐにでも”乱暴”したくなるように、して差し上げますわっ――。そして彼女は魔女となり、絶大なる魔力を振るうのだ――。
「エリス、確かにあなたは美しいわ……圧倒的なほどに……でもワタクシに”あって”、あなたに”ない”ものもある……それがこれよっ――」ソフィーが躊躇なく、下に穿くセクシーな『ローライズ・ショーツ』を下ろしていくと(※ちなみに上には、ほぼキャミソール丈のブラ・スリップを着ている)、その瞬間からあらわとなる、彼女の”無垢なる聖域”……(白く滑らかな大地に、薄っすらと黄金色の草が生えている)。
やがて、下したショーツから片脚を抜き、今度はエリスの身体を”立ったまま跨いだ”彼女は、彼の顔を下僕を見るような目で見下しながら、その”地下神殿への入り口”をパックリと両手で開いていくのだ――ゴゴゴゴゴゴッ。途端に重々しい扉が開いてゆく……はたして、その先にあるものはいったい――。
ソフィー(マレフィセント・モード)「さぁ存分にご覧なさいなっ……これが”本物の乙女の”――いいえ、『スーパー・プリンセスであるワタクシの』! 美しい『おニャンんこ(chatte)』ですわよっ!!」そこにあった――いや”いた”のは何と! 気持ちよさそうにお昼寝をしている、『白毛の番猫』だった!! 彼女がその”ニャンニャン”の首元をくすぐると、そいつは無防備に大口を開け、艶めかしい粘膜――ひいては喉の奥――を見せびらかしながら、大あくびするのだ。
※フランス語で『メス猫』を表す『Chatte』という単語には、俗語として『女性器』という意味も含まれる。つまりこれは、ある意味では『ソフィー猫』の再来である。
ネオ・ソフィー・キャット「さぁさぁさぁっ、遠慮せずともよろしくてよっ……見て触って……お好きなようになさっては?」ひれ伏せぇぇぇぇぇぇっ!! オトコォォォォォォォォォォォッ!!!
「あっ、アタイのも見てくれっ――」ワイン・ルージュ色の『ロングライン・ブラ(ウェスト・ニッパーと一体型のブラ)』を外したキアラが、そのたわわに実った乳房をアピールするように、エリスの胸の上に伸し掛かる。「ほらっ、この一年でアタイの胸……結構、成長したんだぜ……? さ、触りたくなんないかい……?」彼女が、無理やり彼の手を乳房のところに持っていくも、彼は頑なに目を瞑ったまま、フルフルと首を横に振るのみだ。
彼のその意固地な態度が、ますますソフィーの神経を逆撫でする。「いい加減、観念なさいっ! 二人の乙女が”ここまで”してるんですのよっ! なのにまだあなたは、一夫一妻制的な価値観に囚われるんですのっ!?」大いに憤慨した彼女は、さらなる強硬手段に打って出るのだ――。「そっちがそのつもりなら……いいですわっ! ワタクシだって好き勝手、させていただきますからっ――」
そう言うと彼女は、エリスの腹部を跨いだ状態から一歩後退し、屈んで左足の靴と靴下、ついで足首のところにあったショーツをも脱いでいく……。その後彼女は、エリスの穿くストレッチ・ジーンズのボタンをパチンッと外し、続いて前のところのジッパーをもズィッと下ろしてから、満を持して彼が下に穿いているドロワーズごと、そのジーンズを擦り下げていくのだ――。さぁ見せてもらいますわよっ! あなたの臆病な『オス猫』をっ――。
そして……あぁ無情。成す術なくエリスの”勃起したマイクロ・ペニス”が、血走った眼をした彼女らの視線に晒されてしまう――その瞬間、ソフィーが勝ち誇った顔をしたのは言うまでもない! 早速彼女は立ち上がり、ホカホカに蒸れた左足を使って、その哀れなペニスをいたぶっていくのだ――。
「フフフッ……無様ねっ、エリス……どれだけ強がってたって、所詮あなたは男っ! 『興味ない』なんて振りしていても、身体はしっかり反応しちゃうんですわっ!」それからの彼女は、まさに『水を得た魚』――いや、『獲物を得た猫』だった。なぜって? そりゃ~、あんなにも巧みに”後ろ足”を使って、楽しそ~うに『ミョンミョンする玩具』とじゃれてるのだから……。「アッハハッ! そんなにピクピクさせちゃって……ホンッと、情けないったらありゃしませんわっ……(可愛いっ! 可愛いですわ”ミニ・エリス”ッ!!)……感じてるんですの? ねぇ感じてるんですのぉ!?(なら、とっととイキやがれぇぇぇぇぇぇぇ!!!)」
このときソフィーが、もう少しばかり”エリス自身”に注意を払っていれば、それだけ事態は早く収集していたはずなのだが、目の前の”オモチャ”に夢中な彼女は元より、彼の傍でマスターベーションを始めてしまったキアラに関しても、彼の『本当の状態』を知り得るのはもう幾分か先となる……。それでは時を進めよう――。
「お嬢っ! お嬢っ――」エリスのちっぱいに齧り付きながら、己のパンティに手を突っ込み始めるキアラ。彼女はそのまま割れ目の奥に指を突っ込み、溢れ出してくる愛液をその身に纏わせては、すかさずその指先で”お豆ちゃん”を愛撫していくのだ。「ご、ごめんよ、お嬢っ……(ふっ、ふぁっ)……でもアタイ……が、我慢できないっ――」
そうして彼女は、彼のトップス――そして、その後出現するブラをも捲り上げては、愛液まみれになった右手で彼の左乳首を、唾液まみれになった舌で彼の右乳首を、それから手汗まみれになった左手で”己が秘部”を愛撫していくのだった。やっ、やべぇこれ……まるでお嬢の”お豆”と、アタイの”お豆”とが繋がってるみたいで……き、気持ちよすぎるっ――。
一方、まだまだオモチャにゾッコン中のソフィーは、直接的な自慰行為にこそ及んでいないものの、”番猫の口”から卑しいヨダレを垂れ流しながら、俄然熱心にオモチャを踏んずけている。
プッシー・ソフィー・キャットの心の声(足コキのリズムに合わせて)『オトコッ――なんてっ――所詮はっ――性的っ――弱者ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!(連続蹴り) 全員っ――漏れなくっ――生まれっ――ながらなのっ――敗者ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!(もいっちょ連蹴り) 逆立ちしたって――『真のプリンセス』には――なれねぇんだよぉぉぉぉぉぉぉっ!!!!』
ソフィー(邪悪な女王モード)「エリスッ! 分かっていましてよっ! イキたいんですわねっ!? そうでしょうっ!!?」ここで彼女がエリスの顔色をうかがうも、彼は両腕で顔を隠しながら、震えているだけだ。これが彼女の”女王様”に火をつける――。「ならみっともなく、お強請りしたらどうなんですのっ!!? そんで挙句の果てに、哀れでっ――さもしくてっ――惨めでっ――みすぼらしい声でぇぇぇぇぇぇぇ!!! 鳴いてみなさいよぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」
プシャァァァァァァァァァァッ!!! 脳内でその音が聞こえた瞬間、ソフィーは己の勝ちを確信する。よっしゃーっ! イッ――。しかし実際に潮を吹いていたのは、彼女自身の”ニャンニャン”の方だった。はっ……!? 何でっ……これ――。途中まで、一切”ニャンニャン”していなかった彼女ではあるが、度重なる極度の興奮と、膣の自己収縮刺激によって、いつの間にか『Gスポット』が勝手に性感を得てしまい、最後は無意識のうちに自ら、クリトリスを捏ね繰り回してしまっていたのだ。
ちっ、違っ! これはっ、身体が勝手にっ……いぐっ、イキュゥゥァァァァァ――。プシッ、プシャッ、プシャァァッ――。ひと頻り潮を吹いてから、床にペチャンと崩れ落ちるソフィー……全身を痙攣させながら、最上級の快楽と屈辱の余韻に浸っていく……。にゃっ、にゃっ、ニャンでしたの、イマにょは……ニャンで……ワタクシのにょほーが、しゃきに……。
そこでハッと我に返り、”戦友”が取り残されている戦地の様子を刮目する彼女。きっ、キアラはっ? キアラはどうなったんですの――。すると健闘虚しく、無残にも屍と化している彼女の姿が目に留まる――キアラも天界に召されたようで、エリスの胸の上で”安らかに”痙攣している……果然、”敵将”を討ち取ることもなく……。
その光景を見たソフィーが、とうとう自軍の敗戦を悟る――同時に湧いてくるのは、敗因への素朴な疑問……彼女が敵将を睨みつける――。こっ、こいつっ……何なんですのマジでっ……何でまだイってねぇんですのっ……あんなにもペニス、グッチョグッチョにして……感じてなかったわけでも、ないでしょうにっ――。
そのとき、ようやくソフィーは理解した……彼はずっと、『泣いていたのだ』と……。すると嗚咽交じりに訴える、彼の小さな叫びが聞こえてくる。「や……やめて……」その声を聞いた瞬間、彼女のなかで何かが壊れた――すっくと立ちあがった彼女は、そのまま呆然と傍に落ちているドレスを拾い上げ、そして着直した後、ふとポケットから取り出したハンカチで床の”体液”をひと拭いしてから、続けて自分のショーツと靴下と靴とを、順番に拾い上げていく……。
最後に、ゆっくりと上体を起こした彼女は、暗い声でこう呟いてから、音楽室を出ていくのだった。「興が削がれましたわ……(イってから言う)、こんなの全く『ポリアモリー』ではありませんもの……。それに、今日のことで重々分かりましたわ……エリス……あなたがワタクシたちを『愛していない』ことは……」
そうして、音楽室のドアが閉まる。残されたエリスとキアラは、しばしそのままの状態で咽び泣くことしかできなかった。
時を同じくして、近くとも遠い”別の場所”においても、大きく感情を揺さぶられている者がいた――ニヨン・モーザー学校の”すぐ傍”に位置する『カフェ』、そのテーブル席に着いている『ダニエル』である……。彼のいる机上には、広げられた教材と筆記用具、スマホ、それからまだ手付かずの状態のミルクティーがあり、彼に手にはクシャクシャになった紙が握り締められている……。
そして怒りで真っ赤になった彼の両耳には、スマホと接続されている『一対の有線イヤホン』が装着されているのだった。
第五十三章 – 青春時代② 高校生活 Ep.40:時に確かなスクール・カースト

番外編➉ 白日(はくじつ)の盗聴者(イーヴスドロッパー)
2042年4月17日(木)、午後12時26分。ダニエルは”とあるカフェ”のテーブル席にて、怒りに震えたままノートのページを握り締めていた。約12分前、ランチを済ませて勉強を再会しようとしていた彼の耳に、『嫌な音声』が届き始めてからと言うもの、彼は駆け出したい――もっと言えば、『恋人のもとに駆けつけたい』――という気持ちをグッと堪えて、ただジッと苦汁を飲み続けていたのだ(勉強のお供にと注文したミルクティーには、一切手を付けないまま)。
特に最後の数分は、生きた心地がしなかった……。ダニエルは吐き気を抑えるように右手で口を覆ったまま、耳元で恋人が『レイプ』されている音声を聞き続けた。え、エリスが……このままじゃエリスが……ほらっ、何してるんだ”うすのろ”っ! 早くっ……早く彼のところに行ってあげないとっ――。そう分かってはいても彼は、どうしてもその場を動けなかった。
いやっ、ダメだ……これ以上部外者が、校内を徘徊するわけにはいかない……それにもし僕が助けに行ってしまえば、それは『僕がしていること(盗聴行為)』を自白するようなもの……耐えろっ……今は耐えるしかないんだっ(ソフィィィィィィィィィッ!!! それ以上エリスに手を出してみろぉぉぉぉぉぉぉぉ!!! 僕がお前を殺してやるからなぁぁぁぁぁぁぁぁ)――。
のどかな昼下がり、若者たちの軽犯罪(若気の至り)に気づく大人は誰もいない……。このカフェは、ニヨン・モーザー学校の”斜め隣”に位置するビル内にあり、両建物の距離は約50m。ダニエルのスマホは問題なく、『学校側のAP(アクセス・ポイント)』に接続できていた――。
※この辺一帯は、『Signy Park』というビジネス開発地区であり、約73,000㎡の広大な土地には、さまざまな企業・施設が密集している。ニヨン・モーザー学校の建物(SP16)はこのパークの最北端にあり、向かいには小学校(SP14)なんかもあったりする。ちなみに『Signy』という名前は、ここがニヨンにある『Signy-Avenex』という自治体であることに由来する。
――と言うのも今朝、ダニエルはエリスに会いに”わざわざ”学校まで行ったわけだが、実はその別れ際、彼はエリスの着ているブラウス・シャツの”後ろ襟”のところに、一つの『小型盗聴器』を仕掛けていたのである。それはWi-Fi接続が可能なクリップ式のマイク(Bluetoothイヤホンみたいな物)で、『同一LAN上から専用アプリを使ってアクセスすれば、リアルタイムでその音声を聞くことができる』という、実にスパイちっくな代物だった。
ちなみにその重量は、マイク、無線モジュール、アンテナ、バッテリー(リチウムイオン電池)、基盤込みで僅か22gであり、その連続稼働時間は約8時間である(決して高価な商品というわけではなく、2042年に中国の通販サイトで買えるレベルの物)。この重量になると、服によっては仕掛けられた側の人間が気づくこともあるが、幸い今日のエリスは接着芯が入ったカチッとしたブラウスを着ているので、今のところ気づいていないようだ(加えて、今の彼は襟足が長い髪形をしているので、他者の視線からもその盗聴器は隠蔽されている)。
また、肝心のWi-Fi環境に関してだが、通常、一つのAP(アクセス・ポイント)から電波が届く範囲は、遮蔽物なしの5GHz帯で50~100m、2.4GHz帯で100~200mとなる。これが屋内――ましてやニヨン・モーザー学校のような『鉄筋コンクリート』の建造物内――ともなれば、一枚の壁を隔てているだけでもほぼ減衰してしまうのであるが、これまた幸いにも、この建物は全面が大きなガラス窓になっていて、また学校であるがゆえに各教室や廊下の天井に、四角い『業務用AP(家庭用よりも出力が高い)』が備え付られているからして、50m程度離れている斜め向かいのカフェからでも、特に不安定になることもなく繋がるのである。
(無論、学校のAPはパスワードで保護されているが、ダニエルは元生徒なので問題なくロックを解除でき、当然彼は2.4GHz帯の方を使用している)。
そんな、絶妙なバランスで成り立っている『スパイ活動』――ひいては、浮気調査的な『探偵活動』であるが、ダニエルがこんな所業に走ってしまった訳は、何てことない――ちょっとした出来心からだった……。今朝、彼がエリスに説明したように、ダニエルはもう『この学校には通えなくなってしまった』わけだが、その事実を受け入れざるを得なくなった時点で彼は、『その前に一度だけ、エリスの学校での様子を”ちゃんと”知っておきたい』という欲に駆られた(つまりは自分がいない間に、彼を毒牙にかけようとする蛇がいやしないかと、不安に思ったのだ)。
こうして彼は、本日その計画(蛇の尻尾を捕まえるべく、探りを入れること)を実行に移した。前日、奇跡的な幸運によってエリスと”繋がれた”彼であったが、それで不安が完全に消え去ったかと問われると、やはりそうではないと言う他なかった――彼は『本当に安全だ』言える確証が欲しくて、こんな犯行に及んでしまったのである。
結果はこの通り。守るべき恋人は、二時間目の終わりには幼馴染の男にトイレへと連れ込まれ、デリケートなことを根掘り葉掘り聞かれた(セクハラされた)ばかりか、昼休みには同じく幼馴染の女生徒二人から音楽室へと誘われ、訳の分からない因縁を付けられたあげく、性的虐待を受けてしまったのである!(全部、彼自身の暴挙が招いた結果ではあるが……)
はたしてこの先に、どんなドラマが待っているのだろうか? この春公開! 劇場版『ELLIS-エリス- 世界最高の生き方 白日の盗聴者』を見逃すなっ! 真実は、いつも一つっ!!(やっぱあのサブタイトル、劇場版コナンのサブタイを意識してたんか……)
エリスの高校生活㉜ 時に確かな校内序列(スクール・カースト)
同日。ソフィーが去った後の音楽室にて。乱れた服装で密着しながら、共に涙を流す男女ペアいる。その女の方――ゴシック・ドレスに身を包んだ『キアラ』という名の少女は、その男――上も下もひん剥かれて、半裸状態にされた『エリス』という名の少年――の胸の上で啜り泣きながら、自らが『愛されていないかもしれない』という懸念に、深く傷ついていた。
彼女のその、学校で咎められないギリギリの濃さで施された顔のメイクは、もう大分剥がれて落ちて、無残にもその少年の胸を汚してしまっていた。薄ピンクのリップグロスに、ナチュラル・カラーのファンデーション、チーク、そして少し濃い目のアイライナー、マスカラまでもが、今では涙とともに流れ落ちてしまっていた。そのことに気づいたキアラは、まだ泣きたい気持ちを懸命に抑えて、彼(エリス)の胸の上から退くのだった。
上体を起こしたところで早速、彼の胸に付着した化粧品を拭おうとする彼女だったが、あいにく今はハンカチやティッシュの類を持っていなかった(彼女のドレスにはポケットが一つもない)。仕方なく、手首に着けている『黒のリストバンド』を使って、それらの”メイク”をオフしていく彼女。幸い、どれも『強固なウォータープルーフ』というわけではなかったので、涙に溶けたそれらはひと拭いでサッと落とすことができた。
それから「ごめんよ、お嬢……ごめんっ……」と言いながら、少年の衣服を整えていく彼女……彼のジンジンと腫れてしまった乳首や、トロトロになってしまった小っちゃなペニスが、順番に彼女の視界から消えていく……。そうして全てを”片付け”終えた後で彼女は、「大丈夫かい……立てるかい、お嬢……?」と、彼の身体を起こしていくのだ。
すると、ゆっくり起き上がったところで彼が、両手で涙を拭いながら、こんなことを言ってくる。「ごめんね、キアラ……それに――もう出ていっちゃったけど――ソフィーも……今日は君たちのこと、拒絶しちゃって……こんなことの後で、『信じろ』って言われてもとても無理だと思うけど、僕は本当に『君たちのことが好き』なんだ……でも……僕は今”ダニエルの恋人”だから、君たちと”今みたいなこと”はできないんだ……本当にごめんっ……」
キアラが彼の背中を摩る。「いいんだよ、お嬢……いいんだ……今回あんたは、正しいことをした……アタイらがいけなかったのさ……あんたと、”あんたの彼氏”にも許可を取ってなかったのに、こんなことしちまって……ホント、詫びのしようもないほど、面目ない……」そこで倦怠したように床に座り、両腕を杖にして天井を仰いだ彼女は、ふと感慨に浸るように、こんなことを語り始めるのだ。
「たぶん……アタイら焦ってたんだと思う……あんたの存在や言動が、典型的な『スクール・カースト(School caste)』的価値観から、あまりにも逸れてたから……つい、『どうしてそんな愚かな選択を?』とか、『なら自分にもチャンスあるんじゃね?』とかって、考えちまったんだと思う……」
エリス(小さくしゃくり上げながら)「す――っ――スクール・カースト、って……?」
キアラ「ほら、よく学園モノのアメリカ映画とかで見るじゃん? 『イケてるグループ』~とか、『イケてないグループ』~とかって、分かりやすく分類されてるの……いわゆる『学校内人気序列』ってやつ……あれだよ、あれ(とは言え、『スクール・カースト』って言葉自体は、日本発祥らしいけど……)」
エリス「あ――っ――あんなの、お話の世界だけのものじゃないの? だって僕――っ――あんなの実際の学校で――っっ――見たことないよ?」
キアラ「まぁ、一見して分かるようなものは、現実世界じゃ珍しいのかもしんないね……。でも、そういう『序列』っていうのはさ……どの学校、どの職場、どの社会にも、確かに存在してんじゃないかな……少なくともアタイは、そう確信してる……」
エリス「ど、どうしてそう思うの……?」
キアラ「アタイの母親、『製薬会社』に勤めてんだけどさ、よく仕事から帰ってくると辛そうな顔してんのさ……そんでアタイが『どうしたんだい?』って聞くと、母さんこんなことを言うわけ。『今日も上司(女)に嫌な仕事を押し付けられた~』とか、『何時間も同じことで説教された~』とか、『無駄でくだらない仕事を一日中させられた~』とか、『今日は別の同僚がそういう目に遭ってるのを目撃した~』とかって……」
エリス「……」
キアラ「母さんのそういうエピソードを聞くたびにさ、アタイ、つい自分事のようにムキになっちまって……うっかり、こんな『いらぬアドバイス』しちまうんだよね。『そんなの会社のお偉方に報告して、何とかしてもらいなよ』とか、『普段言われてる暴言を録音して、パワハラで訴えてやんな!』とか、『それがいかに非効率で無意味な作業かってことを説明して、いい加減デジタル入力に切り替えてもらいな!』とかってね……」
エリス「そしたら、お母さん何て……? どれも全然『間違ってないアドバイス』だと思うけど……」
キアラ「そう思うじゃん? でも実際はそんな『正論』、社会じゃ通用しないみたいなんだよね……母さんが言うには、『そんなことしたら、自分は今の会社にいられなくなる』、だそうな……結局は『上の上も同類』ってことらしくて、みんな特定の誰かを『えこひいき』してるみたいなんだ……そんで嫌われ者は、虐げられるのみ……特に、男は『若くて可愛い女』に優しくて、女はその逆、ってのがパターンらしい……」
エリス「そ、そんな……」
キアラ「そんな話聞かされた日にゃね、こう思わざるを得ないわけ。『母さんは序列の下層にいる人間――負け犬だ……でも、母さんだけじゃない――その意地悪な上司も、その意地悪な上司を遣っている上司も、その周りにいる連中も、みんなみんな負け犬だ……社会なんて、<負け犬の吹き溜まり>だ』ってね……」
エリス(すごく悲しそうな顔をしながら)「……」
キアラ(そんな彼を見て申し訳なさそうに)「すまないね、お嬢……こんな嫌な話しちまって……でもこれは、アタイにとって『揺るぎない真実』だから……そして『真実は、いつも一つ』だと思うから……実際、人が集まるところで『イザコザがない』なんてこと、ありはしないのさ……なぜなら『人の悩みは全て、人間関係の悩み』だから……」そこでエリスの方に目線を寄越した彼女が、真剣な表情でこんな質問をする。「さっきお嬢は『スクール・カーストなんて見たことない』って言ったけど、本当にそうかい?」
そう言われて彼が、ふと記憶を辿るように俯くと、すぐさま『ある出来事の光景』が思い出される。そう……以前この学校に『ソユル(エリスたちのバンド仲間である、韓国系スイス人の女の子)』が転入してきたときのことだ。今でこそそんなことはないが、当時のソユルは一部の生徒たちから『悪質な嫌がらせ』を――いや、率直に言ってしまえば『いじめ』を受けていたのである。この辺りでは珍しい、アジア系の子というだけのことで……。
不都合そうに俯いて、押し黙ってしまった彼を見て、キアラが続ける。「どうだい? 心当たりの一つや二つ、簡単に浮かんでくるだろう? いつの時代、どのコミュニティにあっても、多かれ少なかれ『上下の関係』ってのは生まれちまうもんなんだ……きっと、それが人の『本質』なんだろうね……『不平等』という名の本質――」
すると彼が反射的に否定する。「そんなことないよっ! 人はみんな対等なはずだもんっ……たとえ少しの間”衝突”しちゃっても、ちゃんと話すことさえできればっ……またすぐに分かり合えるはずなんだ……」悔しそうに顔を紅潮させ、震えている彼のその様子が、単なるサイコパス的な『博愛主義』の枠を超えて、生身の人間の『真の優しさ』をたたえている……。それを充分すぎるほど知っているからこそ、キアラは穏やかに微笑んだまま、しばし彼の言葉に耳を傾けるのだった。
エリス「会社の場合は、『上司』とか『部下』とか、そんな『縦の関係』が普通なのかもしれないけど、本来『人は対等』なはずなんだ……だから僕は、君のお母さんのことも、その上司の人たちのことも、他の同僚の人たちのことも、決して『負け犬』だなんて思わない! さっきキアラは『真実は一つだけだ』って言ってたけど、本当は違うんじゃないかな? きっと『人の数だけ真実はある』んだと思う……お母さんにはお母さんの真実が、上司の人には上司の人の真実が……なんて……これも『僕の真実』でしかないんだけど……こんな考え方、どうかな?」
気づけばキアラは、目に涙を蓄えたまま、温かな気持ちに包まれていた。そう、彼の言う通りなのかもしれない……誰だって『世界がより良い場所になってほしい』と、願っている……だが実際に世界を変えるということは、とてつもなく難しいことで、『変化』とは人類が長い年月をかけ、幾度となく失敗を繰り返した末にようやく、達成されうることなのだ……。
なら私たち一人一人にできることはむしろ、『世界を変えよう』と躍起になることではなく、かと言って『世界は変わらない』と失望することでもなく、各々が『世界の見方をほんの少しだけ変えてみよう』と、『内なる努力』をすることなのではなかろうか? 少なくとも、その方がずっと手っ取り早く、新たな破滅や衝突を生むこともなく、実際に起こせる変化よりもずっと大きな変化を起こせるのではなかろうか?
そんな気づきを得るとともに、少しだけ心が軽くなるキアラだったが、同時に自分のなかに『揺るぎない別の真実』があることにも、気づいてしまうのだった――。彼女は微笑みを絶やさぬまま、「あぁ……そうかもしんないね……」と答えた後、いつものように照れ隠しの癖で、頭を掻き始めるのだった。
キアラ「ったく、まいっちゃうな~……お嬢と話すと、いつも『こんな気持ち』になっちまうんだから……」そうさ、お嬢……そんなあんただから、アタイはっ――。「そ、それでさっ! さっきの『スクール・カースト』の話の続きだけどさっ! つまりは、えぇっと~……何が言いたかったかって言うと~……そうそう! 『アタイらみんな、お嬢には感謝してる』ってことなんよっ! ホント、生まれてきてくれて……そのうえ、この学校に入学してきてくれて……あんがとね! お嬢!」
エリス(話の繋がり全く見えず、素っ頓狂な顔で戸惑いながら)「へっ、へっ!? いきなりどうしたの? キアラ?」
キアラ「まぁまぁ、ちょっと聞いててくれや。さっきはちょっと、話、脱線させちゃったけどさ……お嬢言ったじゃん? 『スクール・カーストなんて見たことない』って……。さっきはアタイ、つい強情に『本当かい?』なんて聞いちゃったけど、実を言うとアタイもね、『この学校ではほとんど見たことない』んだわさ……」
エリス(何がなんだか分からないが、安心しながら)「そ、そうなの……? じゃなくて――そうだよねっ!? 見たことないよね!? みんな仲良いもんっ!」
キアラ「でもさ! よくよくみんなのこと見てみるとさ? 面白いほど『典型的アメリカン・スクール・カーストの階層構造』に当てはまってんだよ! だってソフィーなんて、まんま『クイーンズ(Queens:学園の女王階級)』の人間じゃん? いけ好かない態度で他人を見下しているところとか、特に!」※クイーンズは別名『スクール・プリンセス』とも言われる。多分に皮肉を含んだ呼び名ではあるが、そちらの方がソフィーは喜びそうだ(汗)
エリス「クイーンズって?」
キアラ「おいおいお嬢~、言われなくても分かるだろぉ~? クイーンズってのは、『チアリーダーしてるような美女たち』のことで、周りに何人もの『サイドキックス(Sidekicks:頂点階級の取り巻きたち。いちおうは上位階層)』がいたり、『ジョック(Jock:学園の頂点。体育会系のイケメン階級)』の彼氏がいたり、その彼氏と一緒に『プロム』に参加して、『プロム・クイーン』を目指したりするような奴らのことさぁ!」
エリス「あ、あぁ……分かるよ、分かるけどさぁ……うーん……どれもソフィーには当てはまってないと思うけど……」
キアラ「まぁ、ここはアメリカじゃないし、今は90年代ってわけでもないからなぁ……でも間違いなく、『ソフィーはクイーンズ』だわ(相当嫌われてるクイーンだけど……)。あと付け加えるなら、彼女は『プレップス(Preps:家庭が上流階級の人たちの階級。学園内では中間層に位置する)』でもあるかもねぇ? ひときわ『お金持ち』だし(クイーンズとプレップスのハーフとか……嫌われるわけだわ……)」
エリス「なら、他の人たちは?」
キアラ「アタイは見ての通り、下位層の『ゴス(Goth:パンク音楽やファッションに陶酔している系女子たちの階級)』だし、ダニエルは――こう言っちゃ何だけど――『ナード(Nerd:特定の分野への興味や知識が豊富で、内向的な人たち――要するに『オタク』な人たち――の階級)』じゃん?(まぁ、身体鍛えたりして、舐められないように努力はしてるみたいだけど……)」
エリス「何だか、人にそうやってラベルを付けていくのって……僕、嫌だな……」
キアラ「うん。アタイも間違ってると思う……けど、これはあくまで『そういうタイプだよね』、ってな話として聞いてほしい。多様性を理解するうえでも重要だと思うし、できるだけ早く結論に辿りつくからさ」
エリス「分かった。続けて」
キアラ「そんで、あんたの一番の親友『ニコラ』は、まさに『スラッカー(Slacker:中間層に位置する”お調子者”たちの階級。将来コメディアンになったり、上手く子供を笑わせられる親になったりする)』って感じだし(あと、ほんのちょっとジョックも入ってるか)、エミリーは、まぁ……ソフィーとは違った意味でのクイーンだし(実際、人気も”段ち”だわさ)、ソユルは……言わずもがな、アタイと同じゴスでぇ……それと同時に、彼女は学業成績も良いから『ブレイン(Brain:下位層に位置する、ガリ勉たちの階級)』だったりもする(それにプラスして”人種的マイノリティー”でもあるから、もしかしたらアタイの知らないところで『ターゲット(Target:いじめの標的)』になってたりも、したのかもしんないねぇ……)」
エリス「それじゃあ、僕は……? 僕もみんなとバンドやってるから、やっぱりゴス……? それとも、ソユルちゃんと同じくらいの成績だから、ブレインなのかな……?」
キアラ「お嬢は、『どれでもない』。あんたはそういう枠組みを『超越した存在』だ……」
エリス「えっ? それって……僕は『アウトカースト(Out-caste:序列の外にいる人たち。スクール・カースト的文面では主に”学校に通っていない人たち”を指す)』ってこと……?」※彼は実際のカースト制度における『不可触民』という意味でその言葉を使ったわけではなく、何となく”カーストの外”だからという意味で、たまたまその言葉を使った。
キアラ「いや、そういう枠組みすら『超越してる』ってこと。言うなればぁ……そう! お嬢は『お嬢(Demoiselle:とてつもなく可愛い”男の娘”たちの階級。今キアラが創った)』だっ!!」
エリス(驚愕しながら)「僕って『お嬢』だったのっ!!? そういう意味で呼んでたのキアラッ!!?」
キアラ(珍しく全力ツッコミしてきた彼を見て、可笑しそうに)「ふっ――ごめんよ、冗談じょうだんっ! やっぱ人に対して、不用意に『ラベル』貼るのは良くないねぇ? 『みんな違って、みんな良い』! と言うわけで、ここいらで終いにしとくよっ」
エリス(ふくれっ面になって)「んもー、だったら初めっからやらないでよー(ぷんすかっ)」
キアラ「だからごめんって!(でもねお嬢……本当のところあんたは、この社会全体のヒエラルキーの……)」
エリス(まだハリセンボンみたいに膨れながら)「それでぇ、キアラは何が言いたかったのぉ?」
キアラ「あぁ、それなんだけどさ……つまりは、『こんないろんな奴らがいる学校で、これまで比較的平和に、みんなで仲良くやってこられたのはさ、ひとえにお嬢の存在の賜物だよねぇ』ってこったい! だから『ありがとね!』って、アタイがみんなを代表して述べさせていただいたわけよ……どうだい……? 少しでも、伝わったかい……?」
エリス(感動の不意打ちに、反応に困りながら)「そんなの……僕だけの力ってわけじゃ……きっと僕がいなくたって、全然……」
キアラ「なぁに言ってんのさっ! あんたがいなかったら『悲惨だった』って奴は、かなりの数いると思うぜぇ? 少なくとも『ここに、一人』いるんだわさ!」
エリス「キアラは……そう思ってくれてるの?」
キアラ「もちっ!! あんたがいなかったらアタイは、ソユルの転入に気づくその日まで、音楽について誰とも共有できなかっただろうし、もしかしたら『ヴァルキュリア・セレナード(自分たちのバンド)』だって、作れなかったかもしんない……(それにもしかすると、”恋する”って気持ちも、知れなかったのかもしんないね)……それを悲惨と呼ばずして、何と呼ぶんだい?」
エリス「そんなこと言ったら、僕だって君がいなかったら悲しかったよ……って、こんなの身近な人たち”みんな”に言えることじゃないかな……?」
キアラ「でも、人によって”その度合い”は違う……そうだろう? それって、お嬢の言う『特別』って言葉と、一緒なんじゃない? アタイはお嬢がいなかったら、本っ当、悲惨中の悲惨だったと思う……」
エリス「キアラ……」
キアラ「アタイが音楽を、とりわけ『メタル』を好きな理由はさ……それが『自由』だからなんだよね……。この世界のくだらない枠組み――それこそヒエラルキーとか、『勝ち組・負け組』とか、『誰が偉いとか、偉くない』とか……そういう『腐った既成概念』から、アタイを一瞬でも解き放ってくれるから……。だからアタイは、最高にヘヴィーなサウンドで、ギター掻き鳴らしてるときが、イッチ番っ幸せなんだ……。なかでも特に、あんたたち『最高の仲間たち』に囲まれて、そうしてるときがねっ――」
そこで、目の前の美少年を抱きしめたキアラは、最後に最も伝えたかったことを、意を決して伝えるのだった。「でもっ、去年お嬢が『あの事件』に巻き込まれてからと言うもの……アタイは久しく、そんな幸せを感じられてないっ……当時、『お嬢が右脚を失った』って聞かされたときはさ……それはもう――心臓が飛び出るかと思うくらい――驚いたし、辛かったよ……以来バンド活動はストップしちまったし、アタイは何をやってても満たされないようになっちまった……だから今、お嬢がまた歩けるようになってくれて、そして『心も元通り元気』になってくれて、すごく嬉しいっ……。あとは願わくば、また『アタイらと一緒に、バンド活動してほしい』ってことだけだっ……こんな勝手な頼み、自分でも『おこがましい』って分かってるけどさ……アタイがこの学校に通えるのは、来年の1月まで――あと9ヶ月程度なんだわ……(※彼女は国際バカロレア取得コースではないので)……アタイ、この高校生活に悔いだけは残したくない……だから頼むお嬢っ! またバンドに戻ってくれっ……頼むからアタイを、もうしばらくだけ『ヴァルキュリア』でいさせてくれ……」
彼女の切実な願いを受け、エリスはしばし『求められる喜び』を噛みしめていた……そして、自らが知らず知らずのうちに犯してしまっていた、『罪』の重さをも……。そうだ……僕たちが一緒にスクール・ライフを過ごせる時間は、とても貴重なもので……いつか終わりが来てしまうんだ……。なのに去年、『僕が無茶して傷ついた』せいで、大切な友達との時間も――加えて、みんなの心までもを、傷つけてしまっていたんだ……。ごめんねキアラ……僕は本来ならもっと早く、『歌声を取り戻せていた』はずなのに……自分からは言い出せずに、君をこんなにまで待たせちゃって……でも安心して……君の『もうひと花咲かせたい』って気持ち、ちゃんと僕に伝わったからっ――。
キアラのことを突き放し、それから目の前で抱き留めた彼が、何気ない顔でこう返事する。「何言ってるの、キアラ? 僕はバンドを辞めたりなんてしてないよ? 言うなればぁ……そう! 『ちょっと”お休み”してた』ってだけっ! だからぁ……うんっ! また一緒に頑張ろう! 目指すは来年の、『卒業式ライヴ』だっ!!」
このあまりのサバサバ具合に、まだシリアス・ムードが抜け切らず、とても心が追い付いていない様子のキアラは、しばらく難しい顔をした後、やがて気が抜けたように目を点にするのだった。「ま、マジで……? いいの……?」
エリス「もちろん! だって君が言ったんじゃない? 『ヴァルキュリアは永遠だ』って……こんなことで、僕たちの絆は壊れたりしないよ……そうでしょ、『リーダー』?」
キアラ(点から汁を垂れ流しながら)「おっ、お嬢ぉぉぉぉぉぉぉぉぉ~。。。」またまた始まる抱擁と、どさくさに紛れたスキンシップ(と言う名のセクハラ)。
エリス「ひゃっ――そこっ――まだっ――あんっ♡」
そしてそれと重なるように、校内スピーカーから「ポーンッ♪」という音が鳴り、五時間目の授業の開始時刻を知らせる。すぐさま「いけないっ! もう1時だよキアラ! 早く授業に行かないとっ――」、と立ち上がろうとするエリスだったが、感極まっているキアラは『そうはさせまい』と、俄然”お盛ん”にスキンをシップしていく。
キアラ「あと5分~(涙)(モミモミ)」
エリス「バッ、先生に怒られちゃうよっ! 早くし――にゃいっと……け、けっしぇきに……ってどこ触ってるのーっ!!」
そんな彼らのやり取りを、ずっと盗聴器越しに聴いていたダニエルは、そっとイヤホンを耳から外すついでに、いつの間にか零れていた頬の涙を指で拭ってから、ふと、まだ手付かずだったミルクティーを口へと運んでいく。
そうして温くとも甘い液体をひと口飲んだ彼は、お終いにフーっと深く息を吐き、やがて小さく「ポリ、アモリー……か……」と呟いては、手元でクシャクシャになっているノートの切れ端を片付け始め、最後には気を取り直して、机上の教材へと臨んでいくのだった。
はたして彼らの行く末には、どんな運命が待ち受けているのだろうか……? そして未成熟な彼らの愛が、これから『ポリアモリー(複数対等愛)』へと発展する日は、本当に来るのだろうか……? 望むらくは、以前一人の少女が口にした概念――『最大多数の最大幸福』が、机上の空論でないことが証明されますように……。
そしてその日の放課後。モーザー学校の屋上へと続く暗い階段には、一段……また一段と歩を進めていく、一人の少女の姿があった。彼女の足取りはどこか凄然としていて、その右手には銀色の鍵が光っている。やがて最上階まで辿り着いた彼女は、躊躇う素振りすら見せずに、眼前に出現した扉へと、その鍵を挿し込んでいくのだった。
第五十四章 – 青春時代② 高校生活 Ep.41:真灰な誓い~この手を放すもんかっ!!~

番外編⑪ 深淵なる絶望
五時間目の授業が始まった。教室の中央部、最後列の席にて、呆然と手元のタブレットを眺めているソフィーは、それからの授業など一切合切聞き流しながら(可哀そうな先生っ!)、ただひたすらに自己嫌悪と罪悪感の沼に沈んでいた。
彼女の心を締め付けているのは、ついさっき自らが犯してしまった罪、晒してしまった恥……そして、”想い人”から受けてしまった拒絶への、悔恨と屈辱の念だった……。それらは彼女にとって、どれ一つとして到底受け入れられるものではなかった。できることなら、自分のことを八つ裂きにしてやりたい気分だった……。
にもかかわらず、どういうわけか――股の奥が疼いてうずいて、仕方ないのである……。右手に残った”メス猫”の感触と、左足に残った”オス猫”の感触が消えてくれない……。網膜に焼き付いた『淫猥な光景』が、容赦なく劣情を駆り立ててくる……。それは気を抜いたら最後、授業中であることなどすっかり忘れて、欲望の成すままに”ネコ化”してしまいかねないほどの、強烈な衝動だった。
途中、授業開始から10分ほどが経過したときだ。その想い人が”恋敵の女”を連れて、遅れて教室にやってきたのを受けて、ようやくソフィーの眼差しが”深淵”以外のものを捉えた。二人は先生から二、三お小言を食らってから、最終的に『放課後15分間の居残り補習を受ける』よう言い渡されていた。しかれども、彼らはどこか嬉し気で、それからは仲睦まじくアイコンタクトを送り合ってから、それぞれの席へと着くのだった。
それを見た彼女が、妬み嫉みを覚えないはずもなく、ますます自分という存在が矮小に思えてならなくなった彼女は、ついぞ弱々しく人差し指を上げて(※スイスでは挙手するとき、人差し指を立てるのが礼儀)、「ご、ごめん遊ばせ……ワタクシ……お手洗いに行ってきますわ……」と席を立つのだった。
*
トイレの個室にやってきたソフィーは、そのまま除菌液を塗布したトイレット・ペーパーで便座を綺麗にしてから、スカートの裾をまとめ持ち、そしてその一部を口に咥えては、満を持して脚を開いて、便座に腰掛けるのだった(※彼女はあれから、ずっとノーパンだった。ショーツはポケットの中)。
それから彼女は、プライドも何もかもかなぐり捨てた、退廃的なマスターベーションを始めてしまう。普段なら滅多にそんなことはせず、昔『”そこ”が気持ちいい』と気づいたときにも、何度か試したあげく、すぐに”飽きて”やめてしまったくらいだ(加えて、それが『下品で、自分には相応しくない行為』だと直感したのもある)。
なのに……なのに今日はどうしてか……身体が肉欲を求めてやまない……クソッ……”あんなもの”を見てしまったからだ……あんな、さもしくて、下劣で、なのにどうしようもなく煽情的で……そんなものが”ツイつている”のに、信じられないほど美しく、魅惑的で、征服欲と服従心を同時に駆り立ててきて……そのくせ可愛くて、可愛くて、可愛いすぎるものを、見てしまったからだっ!!!
「うぁっ……くっすぅ……ですあ……」
両手でクリトリスと乳首を一遍に愛撫しながら、苛烈な表情で快楽を貪っていくソフィー。彼女の心にあるのは、この上ない背徳感と、敗北感……そして身を裂くほどの劣等感だった。
えっ、エリスゥァッ……テメェなんか、嫌いですわ……嫌い嫌い嫌い嫌い、大嫌いですわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!! 勝手にその辺のザコどもと戯れて、とっとと枯れていきやがれですわっ! いやむしろ死ねっ! そもそもテメェみてーなやつが、この世に生まれてくるんじゃねぇよっ!!
溢れ出してくる……悔しさと、ドス黒い感情が……その全てを快楽へと昇華させ、さらなる深淵へと沈み込んでいく彼女だったが、どこまで深みに嵌まろうとも、決して消えない光もあった。その輝きの正体は、正しく『純粋なる愛』……しかしながらそれが、必ずしも彼女を”浮上”させるとは限らない――。
う、ウソですわ、エリスッ……今のは全部、嘘なんですわっ!! 本当はワタクシ、あなたのことが大好きなんですのっ!! だっ、だから……ワタクシもその、”ザコども”のお仲間に入れてくださいなっ!! そして、ほらっ――。
情けなく”おニャンこ”を弄っている、哀れで惨めなワタクシを見てくださいまし!! クソムシを見るような目で……そうですわっ! さぁさぁさぁっ……この”アバズレ”は、もうすぐイキますわよ……そのときは『痴女』、『淫乱』と蔑みながら、好きなだけワタクシを嘲笑うがいいですわぁぁぁぁぁぁぁぁ(イクいくイクいくイクいくイクいくイクいく、イクゥゥゥゥァァァァァァァ)――。
プシッ、プシャッ、プシャァァァァァァァァァァァ――。ソフィーの尿道口から、透明な液体が矢のように迸る。腰を浮かせ、ヌラヌラになった膣口を前に向け放った矢……一射目はほぼ不発、二射目も的へは遠く及ばず、しかし三射目でそれは、的確に目標(個室のドア)を射抜くのだった。
パタパタパタ――。水滴がドアの中央を濡らし、すぐさまその痕跡をなぞるように下へと向かう……そしてそれは大地に降り注ぎ、かと思えば『にわか雨』のごとく一瞬で消え去っていくのだ――散水を終え、しばし痙攣を繰り返していたソフィーは、やがてグッタリした様子で便座に腰を下ろした。
プショォォォォォォォォ――。途端に彼女の尿道口から、次なる液体が流れ出てくる。薄く色づいた、黄色いオシッコ……。その最中、荒く呼吸を繰り返しながら彼女は、しばらく極上の快楽と恥辱の余韻に浸っていき、お終いに何事もなかったかのように、トイレット・ペーパーを手に巻き取るのだった。
*
”全て”を掃除し終えた後で、死人のような顔つきで洗面台へやってきたソフィー。彼女はそこで手を洗い始めると同時に、ふと鏡に映った自分の姿を見て、心底ゾッとすることとなる――そこに映っていたのは何と、世にも悍ましい怪物の姿だった(※無論、百万人に一人の美貌を持つ彼女の鏡像は、客観的には変わらず、美しかったのだが……)。
わ、ワタクシは……もうお終いですわ……”中も外も”醜悪で……骨の髄まで腐ってる……生きているのが、恥ずかしい……恥ずかしいですわ――。混じりっけなしの真の絶望に経験した彼女は、そのまま手をハンカチで拭くことすらなく、大量の水滴を落しながらフラフラと、教室へと戻っていくのだった。
番外編⑫ さよなら、愛しい人
その日の放課後、虚無感と狂気に身を包んだ彼女が、トボトボと廊下を彷徨っていると、思いがけず『三人の大人たち』が話し合っている現場に遭遇する。一人はこの学校の『管理人』、あとの二人はここの、『空調設備の点検にきた業者の人』たちだった。彼らは和やかに別れの挨拶を交わしており、帰り際、業者のうちの一人が管理人に、一つの『銀色の鍵束(鍵が九つほどリングで束ねられている)』を返却する――それを見たソフィーの目が、僅かに見開かれる。
彼女はこう直感したのだ。『あれは学校の屋上へと上がる鍵だ――』
※と言うのも、このニヨン・モーザー学校は、全ての教室・職員室に『カードキー式の電子ロック』を採用しているのだが、屋上へと出る扉の鍵(あと一階にある『電気室』の扉の鍵や、各種機械に必要な鍵)だけは例外で、昔ながらの『アナログな物理鍵』を使っているのだ。
なぜならこの学校の屋上には、大量の『太陽光パネル』や『空調ダクト』、さらに『空調機』などを有する『Hvac機械室』があり、それら高額設備へのアクセスは、生徒のみならずほとんどの教員にも許可されていないからだ(加えて物理鍵には、停電時にも問題なく開けるという利点がある)。
ちなみに空調設備全般が屋上にある理由は、この建物が全面ガラス張りの『デザイン性の高い建築物』だからだ。つまり、むやみに壁面に通気口を付けて、外観を損なうことがないように、このようなシステムになっているのである。
――業者を見送った管理人は、すぐさま近くにいたソフィーに気づき、朗らかな態度でこう挨拶する。「やぁ、もう帰りかい? 気を付けて帰るんだよ?」対して彼女が「え、えぇ……”さよなら”ですわ……」と返事したところで、管理人は小さく頷いて、目の前にあった自分の『施設管理者室』へと入っていく。
すかさずスマホを取り出し、これから迎えにくるであろう父親にメッセージを送り始めるソフィー。それと並行して彼女は、今しがた管理人が消えていった部屋の扉の脇まで移動して、そこから絶妙な距離感を保ったまま、右手に持っていた『ロリータ・デザインの日傘』を床に寝かせ置いて、管理人が出てくる瞬間に備えるのだった。
『今日は補習を受けるから、帰りは30分ほど遅れますわ』
メッセージを送信し終えた彼女は、続いてスマホの音楽アプリを開き、適当な音楽を再生→すぐさま停止させ、再生待機状態にする。そのうえでスマホの音量ボタン+を長押しし、音量を最大にしたところで、ようやく”そのとき”は訪れる――。
ガチャッ。扉が開き、ついぞ管理人が部屋から出てくる。その一瞬のチャンスに全てを託したソフィーは、意を決して『再生』ボタンをタップし、同時に嘘の『クシャミ』を行って、さらに右足で床の傘を蹴るのだった――。
「クシュンッ!」彼女のクシャミと重なるように、スマホから『バッハ』の『シャコンヌ』が大音量で流れる。管理人の視線と耳を一遍に引き寄せた彼女は、それから鼻を啜って、管理人に対し「ごめん遊ばせ」と呟いてから、頃合いを見計らって音楽を止め、それがまるで『父親からの着信音』であったかのように電話を耳に引き寄せては、「はい、お父様? えぇ、今から行きますわ」と通話を装っていくのだ。
管理人はいささかの不信感を抱きながらも、すぐさま己の日常と雑事に思考を奪われては、そのまま廊下を歩いていき、やがて角を曲がって消えていく。それを見届けたソフィーは、恐るおそる後ろを振り返り、そこで施設管理者室の扉の隙間に、自身の傘が差し挟まっているのを目撃する。となれば彼女は、迷いなく部屋へと進入し、先ほど見た銀色の鍵束を入手し、即刻、屋上への道を急ぐのだった――。
*
四階までやってきた彼女は、L字型の建物の中央部にある、『開かずの扉』へと速足で向かっていく。途中何度か、残っていた生徒たちに姿を見られたが、正直もう構っていられる余裕はなかった。そしてついに、彼女の目の前にその扉が出現する――。
ROOF ACCESS(屋上用扉)
AUTHORIZED PERSONNEL ONLY(許可された者のみ)
そう書かれた扉の前まで来たところで、図ったように鞄の中を漁り始める彼女……探しているのは、もちろん『鍵』……彼女は鞄の中で注意深くそれらの鍵を観察し、即座に『Key3 Roof1』と書かれた鍵を見つける。人目を忍んでその鍵をドア・シリンダーに挿し込むと、思った通り、シリンダーはいとも容易く回転する――したらば彼女は、4年間以上通ったこの学校の、未踏の地へと足を踏み入れるのだった……。
*
屋上へと続く階段を上り始めたところで、もう彼女の心から焦りはなくなっていた。むしろその逆、今では世界の全てが虚しく、それでいて新鮮に感じられていた。『あぁ、これから私は死ぬんだ……』そう思うとどこか悲しいような、怖いような……にもかかわらず心が解放されるような、そんな不思議な気分だった。
最上段まで来た彼女は、立ちはだかる『第二の関門』を、『Key4 Roof2』の鍵で突破する。たちどころに現れるのは、重々しい重低音が鳴り響く薄暗い部屋……あるのは巨大な白い箱型の空調機や、銀色のテープで断熱加工されたダクトの数々……どうやらここは『機械室』のようだ。
彼女はその部屋を――照明を点けることなく、奥に微かに見える光だけを頼りに――進んでいき、程なくして現れた扉を、『Key5 Roof3』の鍵で開けようとする……そのとき――。
「タンタンタンタン、タンタンタンタァ~~ン♪」彼女のスマホが『本当の着メロ』を奏でだし、一時、彼女の行動を停止させる。そしてもう一度、同じメロディーが――。「タンタンタンタン、タンタンタンタァ~~ン♪」彼女は顔を凍り付かせながらも、つい左のポケットからスマホを取り出し、そこに表示されている名前を確認するのだった……(もはや見るまでもなかったが、なぜか見たくなったのだ……)。
『ワタクシの愛しいエリス(Mon cher Ellis)』
スマホに映った登録名を判読したところで、音楽が本格的な展開を迎える。流れているのは、『Yiruma』の『River Flows In You(川はあなたのなかに流れる)』……現在ソフィーが、『最も美しいピアノ・ソロ曲』だと思っている楽曲だった。普段ならこの曲が流れ、エリスから着信が来ようものなら、それは涙が出るほど嬉しいことなのだが、今回に限っては何の感情も湧かなかった。
彼女は微かな声で、「さよなら。ワタクシの愛しい人……」と呟いた後、『着信拒否』ボタンを押して、銀色の鍵を回していく……。それでも神は知っていた。彼女の心にはまだ、『川』が流れ続けていることを……。
エリスの高校生活㉝ 悪魔降臨~失愛の堕天使~
同日の放課後、キアラとともに15分間の補習を受けたエリスは、改めて先生に”遅刻したこと”を謝って、それから補習授業への感謝も述べて、最後にキアラとも『また明日』を言い合ったところで、ようやく本日の長い長いスケジュールを、全て消化したのだった。
だが彼には、一つだけ心残りがあった。それは昼休みに『悲劇的な別れ』をして以降、ずっとソフィーの様子がおかしかったことである。授業中も休み時間も終始、彼女は魂が抜けたような顔をしていて、そのことを気にしてはいつつもエリスは、ついぞ放課後になるまで一度も、声をかけられなかったのだ。
『最後にもう一度くらい、彼女と話しておくべきだ』そう思った彼は、スマホのメッセージ・アプリを開き、ソフィーのアカウントをタップし、そのまま『発信』ボタンを押してみる――プルルルルッ、プルルルルッ。呼び出し音が何度鳴っても、ソフィーは出てくれない……終いにはガチャッと着拒され、大いに落胆するエリスだった。
あぁ、ソフィー……やっぱり僕に怒ってるのかな……? 早く仲直りしたいなぁ――。廊下に一人立ち尽くし、彼がそんなことを思っていたとき、偶然その傍を一人の生徒(エリスの一年後輩)が通りがかり、彼はダメ元でソフィーの居場所を聞いてみることにした。「ねぇ君、『ソフィー』見なかった? ”フリフリ”の、ワンピース・ドレスを着た女の子なんだけど……」
するとその生徒がこう答えてくれる。「あぁ! その人ならさっき、三階の階段を上っているのを見かけました。何か、思いつめたような様子で……ただならぬ『殺気』を漂わせていました」
それを聞いたエリスは、ひとまずその生徒に「ありがとうっ」とお礼を言ってから、一目散に廊下を駆けていく――。その後ろ姿を見送った生徒は、『うへー……あの人、ホントに義足……?』と思った直後、「キャハッ♡ エリスさんと話しちゃった♡」と、ささやかな幸せを噛みしめるのだった。
息を弾ませつつも、軽快な脚捌きで階段を駆け上がっていくエリス……その姿からはもはや、”ハンデ”の存在など微塵もうかがえない。そうまでして彼が道を急いでいる訳は、ひとえに『全身で嫌な予感を感じ取っていた』からだ。ソフィーが、こんな時間に、思いつめた様子で、四階に上がる……それだけ聞けばもう、彼が危機感を覚えるのには充分だった。お願いだから……僕の思い過ごしであってくれっ――。
*
四階に着いたエリスは、「ソフィー! ソフィーッ!」と名前を連呼しながら、廊下を駆け抜けていく。事態は一刻を争う可能性もあったので、わざわざ一つ一つ教室を見て回ることはしなかった。もし教室にソフィーがいるなら、この声に気づいて出てきてくれるだろうし……いや、それすらも願望に過ぎないのだが……。
廊下の”突き当り”まで来たところで、エリスの前に『開かずの扉』が現れる。彼は『お願いっ、開かないでっ……』と祈りながら、戦々恐々とドアノブを捻っていく……がしかし、無情にも開かずの扉は、開いてしまうのだった――。
その瞬間、背筋を凍り付かせて全てを悟った彼は、ひと言「クソッ――」と、激しい口調で感情を吐き捨ててから、さらなる俊敏さで屋上への階段を上り始めるのだ――。『クソ』……それは優しい彼の口からは、これまで決して漏れたことのなかった言葉だった。それほどまでに彼は今、強い焦燥感とストレスを感じていたのである。
「ソフィィィィィ!! ソフィィィィィィッ!!」騒音に満ちた機械室に入ったところで、エリスがさらに声帯を酷使した叫び声をあげるも、返事がない……彼にできることはただ、大声を出しながら、進み続けることだけだった――。「ソフィィィィィィッ!! いるなら返事してぇぇぇぇぇぇっ!! ソフィィィィィィィッ!!」
外明かりを追って、終点のドアの前まで辿り着いた彼は、そこに銀色の鍵が刺さったままになっているのを発見し、俄然、恐怖の色を浮かべながら神速でドアを開くのだ――バンッ! そうして彼が、初めて屋上の地に足を踏み入れると、前方には幾枚にも及ぶ太陽光パネル、その向こうにはジュラ山脈、その下には長閑な田園風景が広がっていた。
だが肝心のソフィーの姿がない! もしかしたら、もう間に合わなかったのか……。エリスが顔を真っ青にしながら、視線を西から北に移動させると……いたっ!! L字型の校舎の長辺の先端部分に、ソフィーが立ち尽くしているのが見える――彼は考えるよりも先に、絶叫しながら走り出していた。「ソフィィィィィィッ!! やめてぇぇぇぇぇぇっ!! やめてぇぇぇぇぇぇぇっ!!!」
彼の声と接近に気づいたソフィーは、振り向いた途端に大声で、「来ないでっ!!」と叫ぶのだ――がしかし! エリスは構わず走り続け、二人を隔てる残り30mの距離を、全力で詰めていく!「ソフィィィィィィィッ!!!」しかしながら惜しくも、二人の距離が6mまで縮まったところでソフィーが、無情にもこう最終警告するのだった――。「それ以上近づいたら、飛び降りるわっ!!!」
成す術なく、脚を止めて怯えた表情を浮かべるエリス(※立ち止まる寸前に二歩進んだので、二人の距離は4.4m程度)。ふと彼は左下に目線を落とし、今自分たちが立っている場所と、その高さを再認識しては、ゴクッと息を飲むのだった……(※この学校の高さは約15mで、北側は地面が低いので実質15.5m程度。落ちれば当然、タダでは済まされない……)。
再度ソフィーの方に目を向けて、震えた声で説得し始める彼。「そ、ソフィー……お願いだから、こっちに来て……飛び降りるなんて、言わないでよ……」現在、彼女は屋上のパラペット(外周を囲う”立ち上がり”部分)の先端に、”靴を脱いだ”状態で立っていて、その脱がれた靴(メリー・ジェーンと呼ばれる、ストラップ付のパンプス)は、彼女の傍に揃え置かれている状況だ……(かなり危ういタイミングだったと見える……)。
そのことを知ったエリスは、『自分があと少しでも遅かったら……』と考えてしまい、一段と全身を恐怖に支配されてしまう。「ごめんね、ソフィー……僕のせいだよね……? 僕がお昼に君を、拒んじゃったから……傷つけちゃったから……」にもかかわらず彼は、懸命に涙を堪えながら、なおも説得を続けていくのだった――。「本当にごめんっ!! 全部僕が悪かったんだ!! これからは何でも君の言う通りにする!! だから死なないでよソフィーッ、お願ぁぁぁいっ!!」
すると、ようやく振り向いたソフィーが、その悲し気な目を見せながら会話に応じようとしてくれる……のだが、突として彼女は『不気味なほど穏やかな微笑み』を浮かべては(まるで何かもかも諦めたかのように)、首を小さく横に振るのだった――。
「いいえ、エリス……あなたのせいではありませんわ……ただワタクシは、心底『自分が嫌になった』んですの……なぜなら、”気づいて”しまったから……『この世で最も醜いものは、このワタクシ』なのだと……」
その言葉を聞いたエリスは、もう訳が分からなくなって、ただひたすらに顔を上気させたまま、怒りをあらわにすることしかできなかった。「何言ってるのっ!!? 君はすごく綺麗だよ!! それにそもそもとして、醜いとか醜くないとか……それと死ぬのと、何の関係があるの!!? 誰だって『大切な、一つの命』!! でしょっ!!? だからこそ生きる権利っていうのは、誰の手にも平等にあって……その権利を放棄するってことは、君だけじゃない――『他の全ての命まで軽んじる』ってことなんだ――」
「――えぇ。軽んじてますわよ……?」ソフィーがそう、冷徹な顔で吐き捨てた瞬間、彼女の感じる絶望のひと欠片が、エリスの胸に突き刺さった。えっ……ソフィー……今何て――。「ワタクシは”そういう人間”なんですわ……だから苦しんでるんじゃないの……ワタクシはあなたとは違う……自分のことも、他人のことも……とても『大切な命だ』なんて思えないっ……みんなみんな醜いから、汚いからっ……(何よりも、そんなふうにしか考えられないワタクシの心が、一番……)」
エリス「君の言う”醜さ”って、外見のこと? それとも……」
ソフィー「どっちでも同じことですわ……いずれにせよワタクシは、『誰からも愛されない』し、『誰のことも愛せない』のだから……」
エリス「ねぇ聞いてソフィー。僕は君のこと、『愛してる』よ。それはみんなに対する『愛』とは違う。『特別な、愛』なんだ」
ソフィー「……」
エリス「でもね、じゃあどうしてだと思う? 君が『お姫様みたいに可愛い女の子』だから? ううん、違う……じゃあ君が、『僕が”馬鹿なこと”をして入院したときに、『どうしてこんな馬鹿なことを?』って言って、怒りながら心配してくれるような、優しい女の子』だから? ううん、それも違う」
ソフィー「……るせぇ……」
エリス(半歩前に出ながら)「それはね、『君が君として生まれてきてくれて、そして僕と出会ってくれて……それからたくさんの大切な思い出を、僕にくれたから』だ!!」
ソフィー「うる……せぇっ!」
エリス(もう半歩前に出て)「良い思い出だけじゃない! 辛かったり、苦しかったりした思い出だってある……けどその全てが、僕にとっては”かけがえのない”ものなんだ!! だから僕は、『君自身がまるごと好き』だ!! ありのままの……君自身がっ――」
「――うっせぇんだよぉぉっ!!!」ソフィーの大絶叫が空間を裂く(※これにより、付近の木々に止まっていたカラスたちが、一斉に上空へと飛び上がり、また偶然下を通りがかっていた一人の生徒が、異変に気づいて辺りを見回し始める)。これまで彼女の口からは、聞いたことがないほどの乱暴な口調に、エリスの心は一瞬ビクンッと動揺するが、大丈夫……全てを受け入れる覚悟はできていた――(そして彼女は、『プリンセスの仮面』を脱ぎ捨てるのだった――)。
「グダグダグダグダ綺麗事ばかりほざきやがってぇぇっ!! どうせ誰の前でもそうやって『良い子ちゃん』やってんだろテメェはよぉぉぉぉ!!! いい加減反吐が出るわぁっ!! ワタクシのこと、何も分かってねぇくせにぃぃぃぇぇぇぇ!!!」
ひと呼吸の後、彼女の罵倒はまだまだ続く。
「さっき授業中トイレに行ってたとき、ワタクシが何をしていたか分かるかぁ!! あぁぁ!!? テメェのこと考えながら、無様に”まんこ”弄り回してたんだよチクショウがぁぁぁぁっ!!! それもこれも、全部テメェのせいだっ!! テメェが『ありえないほど美しくて、崇高』でっ……『ワタクシのなりたかったもの、全てを体現している』からぁっ……だからワタクシはいつまで経っても、自分の存在意義を見出せないっ!! 見出せないぃぃぃぃぃっ!!!」
ソフィーは本当に死ぬつもりだった。であるがゆえに、”その前”に言いたいことは全て吐き出そうと決めたのだ。今、こうして”愛しい人”が、駆けつけてきてくれたからこそ……。
「テメェなんか嫌いなんだよエリスゥァァァァッ!!! 嫌いで、嫌いで、大嫌いでぇぇぇぇぇっ……なのに、どうしてかっ……それと同じくらい大好きで……大好きでぇっ……もはやそれはっ、『自分自身に抱く感情そのもの』なんだよっ!」彼女の目に大粒の涙が溜まっていく。自分が何に怒っていて、何に絶望していたのか……初めは彼女自身、それが分かっていなかったが、こうして面と向かって親友に本心をぶつけたことで、ようやくその答えが見え始めたのだ――。
「そりゃワタクシだって、嫌いになんかなりたくないっ! 自分のことも、あなたのことも、世界のこともぉぉぉぉぉ!!! でも『そう思ってしまう”この心”』は、決して変えられない、消えてくれないっ……ならもう、死ぬしかねぇだろうがぁっ!! たとえ、どんなに『嫌われたくない』と願っていても、『嫌われることしかできない』んだからぁぁぁぁぁぁっ!!!」
涙に濡れた彼女の目が、これまでで最も邪悪な色に染まる。それは上空にいるカラスの群れさえも、恐れおののいて逃げ出すほどの冷たい目だった。
「エリス……ワタクシは『悪魔』なのですわ……この世に生まれるべきではなかった、醜悪な悪魔……。ねぇ天使さん(mon ange)……? ここまで聞いてもまだあなたは、『ワタクシを愛している』などと戯言を言えますの……? いい加減”翼を休めて”、ワタクシのいるところまで”墜ちて”きてもよろしいんですのよ……?」
強風が二人の髪を靡かせる。上空のカラスたちは、けたたましい鳴き声を上げては旋回し、今しがた下界に降臨した悪魔へと、激しい威嚇を繰り返す……。だがカラスたちはまだ知らなかった……『”本当の悪魔”は、その隣にいる』ということを――。
涙でグチョグチョになった顔を歪ませ、どうしようもないほど辛そうに――されども幸せそうに――微笑んだエリスが、ついに答える――。
エリスの高校生活㉞ 真灰(まっかい)な誓い~この手を放すもんかっ!!~
一陣の風が去り、彼の声がそよ風に乗る。
「うん……愛してるよ、ソフィー……たとえ君が”どんな君”であっても……その全てを、愛してる……だから、『ありがとう』……僕に”本当の君”を見せてくれて……」
その言葉を聞いたソフィーは、唖然とする。「ワタクシの、全てを……愛してる? ですって……?」信じられなかった。『この期に及んでまだ彼が、羽ばたき続けようとしている』ことが……。そして許せなかった。『そんなフラフラな羽ばたきで、なおも高みを目指してまで彼が、自分を見下そうとしている』ことが――彼女はこの瞬間、知らぬ間に『死』よりも重要な目的を持っていた――。『こいつを、撃墜してやるっ!!』
「嘘をつくなぁぁぁぁぁぁぁっ!!! 前にテメェが言ったんだろうがぁぁっ――『命令したり、友達に酷いことを言ったりする君は嫌い』だってぇぇぇぇぇぇ!!! この嘘つきぃぃぃぃぃ!! 偽善者がぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
エリス(なおも表情を変えずに)「うん、ごめんね……あのときは僕が間違ってた……『身勝手な理由をつけて、無理やり君を変えようとした』……本当にごめん!」
ソフィー(薄々、もう勝ち目がないことを悟りながら)「す、少しは否定しろっ!! ワタクシが馬鹿みてぇじゃねぇかっ!」
エリス(首を横に振って)「ううん。全部本当のことだから……それよりもソフィー。僕にしてほしいことはない? 君の言うこと、何でも聞くよ」
ソフィー「はっ……?」
エリス「だから、『恋人になれ』とか、『奴隷になれ』とか……そういうの……。もし君が本当に望んでいることなら、僕は喜んでそうする……。もちろん、君が『死ね』って言うんだったら、そのときは……」
ソフィー「っ……!?」
その瞬間、彼女はようやく気付いた――彼は決して、『天使』などではなかったことに――。こ、こいつ……ワタクシを救うためなら、悪魔にだって魂を売るつもりだ……な、なめやがって――。
ソフィー「ばっ、馬鹿じゃねぇのテメェ!! もうそんなんで解決する次元じゃねぇんだよっ! ワタクシはっ……ワタクシはぁっ……」
「さっき君、言ってくれよね? 『僕に対する感情は、まるで自分のようだ』って――」エリスが突として、靴を脱ぎ始める。「実は僕もね、少しだけ感じてた……『僕と君は似てるな』って……でもその訳が、今日やっと分かったよ――」両靴ともに脱ぎ捨てた彼は、どこまでも透き通るような目と微笑みで、彼女へと右手を差し伸べるのだった。「僕と君は『一心同体』……『二人で一人』だったんだ……だからっ――」
「もう決して離れない……心も、身体も……僕たちは死ぬまで一緒だ……。そして死ぬときも……死んでからも……また生まれるときも……その先も……。ずっとずっと一緒……絶対に君を離さない……」
約束する――。
もう……何も聞こえなかった、いらなかった……その言葉の他には、何も……。もはやソフィーは言い返す言葉すら失い、ただただ屋上の端っこで号泣することしかできなかった……。そう……彼女もようやく気付いたのである――何もエリスは、『初めから羽ばたいてなどいなかった』ことに……。どうりで撃ち落とせないはずだ……。彼は”あのとき”も、”そのとき”も、そして”このとき”も……ただ目の前の”そこ”にいて、誰よりも利己的に、愚直に、善も悪もなくワガママに、<世界=自分>を救おうとしていただけだったのだ……。
泣き続ける彼女を余所に、彼が『誓いの言葉』を続ける。「だからね、ソフィー……もし君が”飛ぶ”なら、僕も飛ぶ……絶対に君一人では逝かせない……絶対に……」
それは言うなれば、『相手の命を救う善』に、『自分の命を懸ける悪』が合わさった、『真っ白で、真っ黒な誓い』だった(要するに彼は、その誓いをもって彼女と、『SHK(スイス人質交換会)』契約を結ぼうとしているのだ)。
彼女が答える。「ひっ、卑怯者っ……」
彼が問う。「ねぇソフィー、教えて……君は本当に死にたい? もしそうなら、うん……一緒に死のう」
彼女が反発する。「言ってることがめちゃくちゃですわ……あなたさっき、『自殺は全ての命を軽んじることだ』って、言ってたじゃありませんの……それなのに……」
彼が天使とも悪魔ともつかない微笑みを浮かべる。「うんっ、言ったっ……だから僕も『君と同罪』っ。同じ罪を背負って”逝く”よっ……だって――」そして笑顔は曇り、『優しい悪魔』が顔を出す――。「ここで君を守れないような世界なら、僕だってそんな世界、いらないから……」
悪魔の囁きが、彼女の心を優しく包み込む。その言葉があまりにも嬉しくて、いつしか彼女の流す涙のほとんどは、悲しみから喜びの涙へと変わっていた。そして度重なる辛い葛藤の末、ついに彼女の心が、一つの結論を導き出すのだった――。
「じゃあ……ワタクシと死んでくださいますか? エリス……」
泣き笑う彼女がそう告げると、清々しいまでに穏やかな微笑みを浮かべた彼が、こう答える。
「うんっ。分かったっ」
そうして彼は、ゆっくりと前進し始め、一歩、二歩、三歩と、彼女のいる”深淵”へと歩み寄っていく……そして彼が、彼女の立つパラペットに上がろうとした寸前――彼女の意地悪な澄まし声が、頭上から降り注ぐのだった。
「また今度ね。お馬鹿さん」
内心、とてつもなく驚いたのだろう――エリスが目をカッと見開いて、上にいるソフィーの顔を見上げると、彼女はどうしようもないほど幸せそうな顔で、まだ、そこに立っていてくれた……。エリスの心を占める恐怖が、少しずつ安堵へと変わっていく……。「えっ……『また今度』って……それって……」
すると、目線を横に逃がしたソフィーが、出し抜けに深く溜息を吐いてから、照れ隠しに髪を手櫛しつつ、とびっきりの『デレ呆れ顔』でこう応えるのだ。「全く……興が削がれましたわ(本日二度目のセリフ)……本気で死ぬつもりだったのに……あなたが『あまりにもお馬鹿さん』なものだから……何だか死ぬのが”バカバカしくなって”しまいました……。ですから、『自殺は無期限延期』とします……全く、大迷惑ですわ……あなたさえ来なければ、こちとら今頃、安らかな静寂のなかに消えられていたはずなのに……ちゃんと責任、取ってくださいな?」
それを聞いたエリスは、両目から滝のように涙を流しながら、「う、うんっ……責任取るっ……もう絶対に君を、こんな気持ちにはさせない! 約束するっ……」と、その場に崩れ落ちてしまう。その姿を見たソフィーは、生まれて初めて、『自分は真に愛されているのだ』と、感じることができたのだった。
愛を知ったソフィー「そんな無様に泣き崩れて……さっきまでの威勢はどうしたんですの……? ホンット、お馬鹿さんっ……☆」
――バキッ! 『開かずの扉』の前で立ち尽くし、この上ない後悔と自責の念に打ちひしがれている少年がいる……本日エリスの”後ろ襟”に盗聴器を仕掛けて、一日彼の身の回りの出来事を盗聴していた『ダニエル』である……。彼の目にも滝のような涙があり、その足元にはバラバラになったイヤホンの破片が散らばっている……。その破壊されたイヤホンこそが、彼の感じる恥と罪の意識の表れだった――。
僕は、最低だっ……最低の『クソナード』だっ……。浅はかな挑発で、みんなの恋心をいたずらに刺激して……そのうえ『こんな姑息な手段』まで使って、彼らの心を覗いたりして……。僕は今日、エリスだけじゃない――ニコラ、キアラ、ソフィー……みんなの心を踏みにじったんだっ!! 特にソフィー……本当にごめんよっ……間接的とは言え、結果的に君を”そんなにまで”追い込んでしまって……『ポリアモリー』……君たちさえ良ければ、僕は全然それでも構わないからっ――。
※ニヨン・モーザー学校は『鉄筋コンクリート』の建造物なので、屋上から下の階のAP(アクセス・ポイント)に接続することはかなり難しいが、2042年には庭にもAPが設置されているので(生徒からの要望+屋外でのドローン操縦体験授業などのために)、屋上からでも問題なくWi-Fiに繋がる。
「さっ、いつまで泣いてるんですの? ワタクシをエスコートしてくださいな。王子さま……」ソフィーが左手を差し伸べると、エリスは「う、うんっ!」と立ち上がり、その手を取ろうとする……そのときだった――。
「カァァァッ!! カァァァァッ!! カァァァァァッ!!!」
いったいなぜそうなったのか――上空にいたカラスの大群が、一斉にソフィーめがけて襲い掛かったのだ! 十数羽は前方から、彼女の身体に衝突して――さもなくば傍を掠め飛んで――いき、三羽は後方から、彼女の頭部に爪を立て、去り際、その髪の毛を力いっぱいに引っ張った! 一瞬の出来事……まるでカラスたちが、『悪魔になりそこなった偽物』を、地獄へと誘うかのようだった……。そして”偽物”がバランスを崩す……。
「えっ……エリ……っ……」
彼は叫んだ。
「ソフィィィィィィィィッ!!!」
その瞬間、世界に熱い音楽が流れ始める!!!
うぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!! 彼が彼女へと飛び掛かり、瞬時にその左手を掴んでは、パラペットの外縁に右手を、内縁に右足(義足の先端)を引っ掛ける!!! バタンッ! 何とか”掛け留まり”、彼女の落下を阻止することができた彼は、すぐさま『ありったけの力』を振り絞り、左腕一本で彼女の身体を引き上げようとする……がしかし!
華奢な彼の腕一本では、50kg近い彼女を引き上げるのは到底無理! かと言って右腕を使おうにも、支えにしている右手を放してしまっては、自分も奈落へと引きずり込まれる危険がっ――。「ぐぅぅぅっ……ぞぉぉぉぉっ……ぉっ……!!」
「もういいですわ、エリス……」全てを覚悟したようなソフィーが、歯を食いしばりながら耐えている彼を、切なそうに見上げる。「”墜ちた”のは、ワタクシの自業自得……これは天罰なのですわ……だから、もう手を放して……このままでは、あなたまで一緒に――」
「――黙れっ!! 僕に命令するなぁぁぁぁっ!!!」彼が激昂する。立て続けに起こる困難と極限状態が、彼をさらなる『優しい悪魔』へと変えたようだ。「言ったろっ! 『僕たちは永遠に一緒』だって!! ここで君を見殺しにしたら、それこそ僕はもう生きていけないんだよっ!!!」
彼女の目に、清らかな涙が滲んでいく。「っ……っ……エリス……」
「分かったら君も、死に物狂いでしがみつけっ!!! 僕もこの手を放さないっ……絶対にっ……放すもんかっ!!!」
「っ……っ……はいっ……ですわ……」
そして涙は零れ落ち、彼は限界へと挑み始めるのだ。
「くっ……ぅっ……うっ……ぁっ……」鬼気迫る顔で彼女の手首を握り続ける彼だったが、現実問題、この状態が長引けば長引くほど、生還の未来が狭まっていくことは確かだった。そこで彼は、一か八か右手を解放し、ソフィーの腕を両手で掴みにいくことにした。もうそれしかないと思った――。「そ、そふぃ……こうなったら最後の懸けだ……今から全力で持ち上げにいくから、こ、怖いかもしれないけど……どうか動かず、ジッとしててねっ……」
ソフィー「わ、分かりましたわ……」
エリス「行くよっ……? イチ、ニの、サンッ――」
うぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!! 上腕二頭筋を激しく収縮させ、左腕を半分ほど曲げたところで彼が、意を決して右手をパラペットから放す――そして彼女の腕をガッチリと捕まえた彼は、そのまま両腕と背筋の力を使って、ヒーローのように彼女を救出していく!! はずだった……。
スポンッ――。突然、最後の支えであった右足の義足から、エリスの脚がすっぽ抜ける(断端とソケットを繋ぐ『シリコン・ライナー』から、あろうことか断端が抜けてしまったのだ……。普段から摩擦を軽減するために、そこにワセリンを塗っていたのが仇となった……)。しまっ……おっ……落ちっ――。
ガシッ!!! エリスが”無いタマ”をヒュンッとさせたそのとき!! 何者かが彼の後ろ襟を掴んで、大声で吠える!!
「僕は、クソナードじゃないぃぃぃぃぃぃっ!!!」
それは、直前までエリスたちの様子を盗聴していたダニエルだった。彼はソフィーが自殺する危険性があるうちは、あえて屋上には上がっておらず(下手に出ていって刺激しないため)、その後その危険がなくなったところでイヤーモニターを破壊し、しばらく悔恨の念に浸ってから、屋上まで上がってきたのである。
間一髪だった……。「踏ん張れっ!!! 二人ともっ!!!」ダニエルがそう叫ぶと、それを聞いたエリスとソフィーが、九死に一生を得たような顔で「うんっ(はいっ)!」と答える。そして、スクール・カースト底辺のはずだったクソナードは、クソ最高にカッコイイ『ヒーロー』になるのだった――。
こんなところでは終わらせない!!! クリフハンガーなんてクソだぁぁぁぁぁぁ!!! 僕が変えやるっ!! クソみたいな運命は全てぇぇぇぇぇぇ――。「筋肉、パゥワァァァァァァァ!!!」
そして二人は助け出され、熱い音楽は未来へと受け継がれていく。
あとがき:祝、一周年!
本日、3月15日をもって、この『ELLIS-エリス- 世界最高の生き方』という作品も、めでたく一周年を迎えることができました。何の取り柄もない自分が、ここまで一つのことを継続してこられたのは、ちょっとした奇跡なのではないかと思っています(※ノクターンノベルズの方にアップしたときの後書き原文のままになっています)。
例によって、一話書き上げるのにかなり時間がかかってしまい、今回もイメージ画像の作成が間に合わなかったのが悔やまれますが、まぁもう、あんまり完璧は追い求めずに、気楽にやっていこうと思います(笑)
それはそうと、全年齢版『小説家になろう』の方で、『虚無的な俺は、今日も善行する』という新連載を書き始めたので、もしお気が向きましたら、ぜひそちらの方もチェックしにきてください。
それでは、こんな長文を最後まで読んでくださり、誠にありがとうございました。
m(__)mペコリ



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